学校の文化 担任の先生より

315)どうする?教材の引継ぎ

今年度も少しずつ終わりが見えてきました。

現に次年度の予算申請や、次年度の指導体制の組み立てが秋頃に行われるところもあるので、年度の始めと終わりはバタバタするものです。

【教材の流れ】
特別支援学校で使う教材(集団用・個別学習用)について、ざっくり言って半分は公費で買ったもの、あとの半分は教員の自作また自腹購入の教材で動いています。

教材は小学部1年生から持ち上がって小学部2年生へ…とスライドしていきます。

そうなると、蓄積も情報もなく、リターンが少なくなる小学部1年生にまわる教材はどうしても少なくなります。

なぜそのような事態に陥りがちなのでしょう。
単に教材のもち上がりに伴うもの、と言えない気がします。

【なぜか】
①実態が分からない<何が必要か分かっている

在校生はおおまかにでも実態が分かっているので、教材を確保する根拠が明確です。一方、新入生は個々の実態がつかめていない、学校という環境に入ったらどうなるか見通しがたっていません。そのため、個別の教材は「学校生活を過ごす中で見繕っていきましょう」という雰囲気になりがちです。

②異動する教員の性格などによる

在校生の実態にあった自作・自腹の教材を揃えた教員が異動するとき、対応は2つです。

学習を継続するため、新年度混乱しないようにと残していく場合と、自分で揃えたものだし、次の学校で使うことになるかもしれないと持ってでていく場合です。

何年も教員をしていると、子どもの実態が分からない、体制が整わないときに「間をもたせる」指導のパターンをいくつかもっています。そのパターンをうまく遂行するために必要な教材であれば、私物ということもあり、持って出ることにためらいはないでしょう。

新年度の新しい出会いを契機に、新しい取り組みにトライすることもあるので、引き継がないのもアリだと思います。

③実態が分からないうちに、実態に合った予算執行(新規の教材を購入する)は不可能

次年度、どんな児童が入学するか、どの先生が小学部1年生を担当するか分からない段階で、積極的に予算執行することは難しいと思われます。新入生を担当したことがある、経験年数が長い教員であれば経験則を活用して埋めてくると思うのですが、なかなかそうはいかない場合も多いです。

【新入生対応】
入学は、その学校での生活をスタートさせることです。

始めにコケないよう、新入生のところにはベテラン等の教員でかためて、その偏りをならす意味で新規採用の先生を入れる、ということがよくあるパターンです。

しかし、新入生に異動者(教員)ばかりをかためた学年になると、ちょっとしんどいです。

運用するにも、児童の実態がつかみきれず、教員がそれぞれどんな人か分からず、その学校の文化や施設環境が分からない、というトリプルパンチを食うことになり、そこへきて教材不足があったら、かなり厳しいことになります。

https://magomago1.org/314levelupteachersskills202012/
前回は「314)授業も科学?つきつめ過ぎると生じてくるデメリットについて」でした。