担任の先生より

327)想定内 特別支援学校におけるリスク管理

知的の特別支援学校の中学部にいたときのことです。

私のいた学級は教員二人と生徒三人で、手をつないだり、見守りをしたりしながら下校指導をしていました。在籍している学級は2階にあったので、階段を下りていきます。

私もまだその学校に異動して、あまりたっていない時期だったので、まだ「どの場面で、どういうことを想定して注意するか」まだ十分につかめておらず、アンテナは通常以上にはっていたと思います。

そんなとき、歩ける・走れる、だけで注意が散漫になりがちな男子生徒が階段から足を踏み外しました。

そのときは、スローモーションのようにゆっくりに感じられ、「転落させない、とにかく止める」のスイッチがはいりました。

私は、彼の服(背中)をつかんで、転落しないよう止めていました。

一緒にいた先生は「ヒッ」と言って、顔がこわばっていました。
そこで言った一言、「想定内です。」
おそらく、今まで教員をしてきたなかで、ベスト5に入るくらいのカッコよさだと思います。

これについて、整理すると言いたいことはカッコいいではなく

①児童生徒の実態がつかめてくれば、場面ごとに想定できるリスクをふまえた準備ができる。
②何気なくいるようで、実は生徒の状況を見て動いている。
③ネガティブな何かが起きないよう準備しています。

また、目の前のことに一喜一憂するのではなく、その行動や発言の意味や価値をその都度計算する態度が常に求められると思っています。

ポジティブに物事を捉えるのはいいことです。
しかし、それで完結してしまうと、リスクや誤学習に対する対策がおろそかになってしまいます。

教員は想定すること、想定して行動することが大事だと思いますが、それ故に大きく環境を変えることを嫌う一面がありますし、想定すること、科学的に物事を捉えることを嫌がる先生は「分からないことについて、拒否」する傾向があって、保守的だと感じることがあります。


https://magomago1.org/326tooclearleadersometimespreventothermind202101/
前回は「326)ローコンテクストな教員がリーダーとして仕事をするとき、留意すべきこと」でした。