学校の文化 担任の先生より

330)特別支援学校における、教員の部内応援

特別支援学校の先生の多くは各学部、各学年、各学級と所属が振り分けられています。

しかし、教員の配置は大変タイトで、支援学級の先生や知的特別支援学校では配置に余力がほとんどなく、教員はトイレに行けないというのが日常のあるあるです。

知的障害特別支援学校の指導体制の例(△と★が教員、〇が児童生徒)

【指導体制に空いた穴】
そんななか、長期の病休や、単発の年休や出張や研修などで教員が抜けたらどうするかですが、

休暇等が長期(1か月以上)の場合は講師等を探して体制を安定させようとしますが、1か月未満となると講師はつかない(昨今は見つからない)ことになり、「現場で協力しあって、なんとかしろ」になります。

講師が見つからないのは講師登録している人の数や、必要としている教員の教科や性別などのマッチングがうまくいかないといった事情もあるかもしれません。

ひとたび教員になると児童生徒の実態の違いに配慮したり、日々の指導を行ったりすることについて、ほぼほぼお任せになってしまうので、昨今の個別のニーズや消費者意識の高まりを考えられると、かなり覚悟していかないと務まらない仕事ではと思われます。(同僚の教員にもよるが、これは運頼み)

【応援、何が難しいか】
現場から見ていて、隣の学級の応援でも難しいところがあります。

それは2つあって、1つは抜けた担任が作っている学級の雰囲気や指導を壊さないように運営すること、もう1つは担任しか把握していないような家庭ごとに違うルールです。

例えば、帽子は登校時かぶるが、下校時はカバンにいれてください。
トイレの後に手を拭いたミニタオルはトイレで使ったので、下校時は登校時と違う袋に入れて下さい。
などです。

隣の学級なら、児童生徒の実態はおおよそ把握しているので、それなりに対応できるのですが…。
正直、分からないことが多いです。

【応援の実際】
応援をする側も、応援を受ける側もマナーを守ることが大事だと思います。

応援する側は前述したとおり、入った学級の指導の流れを壊さないこと、傍若無人にマイルールを持ち込まないことが大事です。不明なことも多いので、入るほうはかなり気を遣っていることが多いです。

一方、受ける側もレギュラーメンバーの補充がきたと思って、通常の動きばかりしていてはいけません。場面ごとにリスクがある、家庭向けの配慮が細かい児童生徒については安易に担当させるべきでなく、予備知識が少ないことを前提に、伝えればすぐできること、流れにのっていけば成り立つことを依頼していくことが重要です。

また、配慮が必要な場合は、何をどこからどこまで行うか事前に説明し、「指導として、どこまで求めていいものか?」のように、応援にきた教員を迷わせてはいけないと思います。

【どうすればいいか】
児童生徒や家庭に関してナーバスであったり、時には過剰に配慮したりしますが、同僚に対しては甘えがあるのか、共通理解して物事をすすめることに慣れきってしまっているのか、応援にきた同僚への配慮がまるでない場合あり、すごく困ることがあります。

大事なことは、相手の立場にたって考えること、一時であれ同じチームとして働くのだから不安が少なく過ごしてもらうという気持ちだと思います。

そのためには、普段行っていることを言語化して整理しておくことです。その場その場で応援にきた教員を活用するには、何をするか説明するだけでなく、許容される範囲や基準がないと難しいです。なんとなく流れで済ませていること、感覚的に処理していることはないか、分析することが大事になります。

そのことを考えると、作業療法士の「作業分析」は学級経営をするうえで非常に役にたっています

https://magomago1.org/329nosleepstudyforjapaneseteacher202101/
前回は「329)教員向けの研修でウケるにはどうすればいい?」でした。