学校の文化 担任の先生より

346)特別支援学校 子どもの肢体不自由部門から知的障害部門への移動について

肢体不自由特別支援学校に入るか、知的障害特別支援学校に入るかは、入学相談などを経て検討され、決定されます。
入学してから「何を大事にした教育を受けさせたいか」、「子どもの実態が変わってきた」について考えるうちに、所属する学部を変更するか検討するに至る場合があります。

私は肢体から知的、知的から肢体の転籍を両方見る機会がありましたが、キーポイントは「歩けるか」、「集団のスピードについていけるか」、「指導体制の手厚さ」が主な理由になるようです。

また、公にはでてきませんが、「積み残しが多いので、もう少しじっくり取り組んだほうがいいのではないか」、「カードの提示など、知的障害教育の指導方法中心の学校生活を保障したほうがいい」、「集団の動きを見て、それに合わせるうちに成長できる部分が多いのではないか」などの理由も転籍を奨めるキーポイントになっていると思われます。

【肢体の学校】
肢体不自由の学校は知的障害の学校と比べて教員と子どもの割合について、手厚いです。そのことが子どもをしっかり目をかけて欲しいという保護者のニーズに合っているところがあります。また、授業の流れがゆっくりです。

しかし、ゆっくりしているために活動性の高い児童生徒にとっては緊張感が低く、待ちの時間が多くなるために見通しが持ちにくいところがあります。また、障害像の幅が広いため、普段積極的にかかわることができる友だちは限定的になりがちです。

【知的の学校】
知的障害を主とする学校は活動量(移動)が多いです。また、次は何をする、その次はどうする、と展開が早いです。教員の数は肢体不自由の学校より潤っていないといえます。そのため、他害や遊出、かまってなどの特性をもつ子どもが学級にいると、担任はそこに目と手をかけるようになります。

【転籍を考えるきっかけ】
所属する校種の特徴が、その児童生徒にとってうまく機能していないと思われる場合
他の校種の特徴が、子どもの発達的ニーズを満たすと考えられたとき

保護者の希望、通学条件なども重要ですが、指導上のミスマッチは教員にとっても、子どもにとっても望ましいものではないと思われます。多種多様な子どもが学級に在籍すると、共通項が少なくなります。共有するものが少ないと学びあう集団として機能しにくくなります。

障害種別にかかわらず、共に学びあうというのは理想であって、学級運営が困難になるケースが多いです。そうならないために、子どもに合った環境を求めて転籍が行われているのだと思われます。


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前回は「345)特別支援学校 ラーメンは飲み物」でした。