学校の文化

347)特別支援学校 1日入学のミッション

特別支援学校では1日入学という日が設定されています。

私は小学部のものと、中学部のものしか見ていないのですが、おおよその流れは同じだと思うので書いていきたいと思います。

【1日入学のミッション】
入学する前に、走り始める準備をする必要があります。

保護者:スクールバスの給食などに関する説明を聞き、書類を提出する。
教員:子どもの様子を知り、学校生活をどう過ごしていくかイメージすることが必要です。学級編成をどうするか、どんな教材を準備する必要があるか、集団生活をどのように過ごすか、給食はどうするか、などになります。
子ども:新しい環境である学校がどんなところか知る、期待感をもてるようにする。

学校ごとに1日入学のねらいがでていますが、大枠は同じような感じだと思います。

【1日入学の前】
1日入学担当の先生から、どのような流れで1日入学が進むか、児童生徒にどの先生がつくか教員に知らされます。数日前には書類に目を通し、おおまかにどんな子どもか把握します。

【1日入学(肢体不自由部門)小学部の場合】
保護者も子どもも初めてのことばかり、情報も多いので、少しでもシンプルな流れで分かりやすくと考えています。受付を済ませたら保護者は説明会と面談、子どもは教員と過ごすので、別れた後それぞれどのように過ごすか、終わったらどうすればいいか確認します。

子どもは集団活動と、個別の活動に入ります。

集団活動でよく行われるのが「朝の会」です。友だちと並んで座れるか、名前を呼ばれたら返事(口頭、動作等含め)できるか、など学習の流れにのることができるかが最も大事なところです。

個別の活動では、肢体不自由の部門ということもあり、身体や運動の特徴、手の使い方、床上での姿勢変換や座位などについて見ていきます。

入学前の情報、観察の結果などをふまえ、教育課程や学習グループが決定されます。

この教育課程や学習グループは1度決まると変えられないものではなく、やってみたけれどなんだか違う、といった場合はいくつかの手続きを経て変えられるものなので、無理をしないでスタートをきることができたらいいなと思います。

【1日入学(知的部門)中学部の場合】
中学部の場合、小学校や小学部で学校を過ごしてきた蓄積があり、どんな子どもかおおよそ把握されているので、その特別支援学校に新規で入るというものでなければ細かいことは抜きにして、とにかく中学部とはこういうものです、と理解してもらうことが優先されるように思います。

つまり、何でも教員がやってくれる訳ではない、集団を意識して過ごすという環境になってくるので、小学部の雰囲気から少しずつ…ということは少ないと思われます。

少しずつ環境になれていく、という子どもの場合は少ししんどいかもしれません。一方で見通しがもてないと混乱する子どもの場合は、「こんなところだ」という型をはっきり示したほうがいい場合が多いです。小学部でいつの間にか身についてしまった誤学習をきれいに掃除するくらいの「環境の変化」というインパクトが中学部にはあります。

小学部ではこんなに大変だった、こんな配慮が必要だった、これがないと落ち着かない、そんな小学部の先生の心配は杞憂で、あっさり脱皮したかのように過ごせるようになった子どもを何人もみてきたので、環境の変化は大事なことかもしれないなぁ…と思います。

(もちろん、中にはうまく適応することが難しいので小学部でやってきたものを継続した、しばらく大荒れだった、というケースもあります。)

中学部では個々の実態の違いに合わせて、小学生時代をどのように過ごしてきたかという経験の違いもあるので、それを含めてのアセスメント(医療系でいうところの評価)が行われ、集団活動、着替え、運動、机上課題、等が行われます。

机上課題は、全員が行うアセスメントバッテリー的な課題が準備されており、それをとにかくやってみるという学校もありました。

個々に何をつみあげてきたか、それが集団での生活でどれくらい活かせるのか、という視点が中学部の1日入学で見られるところなのかなと思います。


https://magomago1.org/346changinggroupreason202102/
前回は、「346)特別支援学校 子どもの肢体不自由部門から知的障害部門への移動について」でした。