年度がわりです。
まだまだ教室の中は落ち着きません。
学年もちあがりの先生は、授業などをどの段階からスタートさせるか頭を悩ませます。
先日お話させてもらった先生は学年持ち上がり、他の教員はすべて総シャッフルされた状態でした。
集団の指導と、個別の指導(対応)が、まだ上手くまわっていないそう。
そんななかで、昨年のものを基準にして、ステップアップさせることに不安を感じる、とのことでした。
また、「子どもの集団は変動ないのだから、授業改善を図るべきだ」という意見もあるでしょうし、「すでにやったことを、あえてするのは手抜きだ」、「子どもが飽きてしまっているかもしれないのに、意味あるの?」といったことも気になる、とのことでした。
昨年度と同じことをするのは、実際どうなのか…ですが、私は「同じことをしていい」、むしろ時期や教職員の状況を考えると、「やるべき」だと思っています。
理由はいくつかあるのですが、重要なことは何を主軸にして物事を考えるか、です。
私は教員をしていますので、考えが教員寄りになりがちだと思いますが、学校で子どもをとりまく環境を動かしているのは明らかに現場の教員です。彼らが個々に違う子どもに対して、何が良くて、どれくらいがいいのか、こんなときどうするか、この児童生徒に対応できるのは何人いるか、そういった支援体制が見えてこないうちは事故のリスクが高く、混乱しがちで、不安もあるので積極的に動けないことが多いです。
【なぜ、昨年度のものを薦めるか】
昨年度の授業は、昨年度のメンバーが、昨年度のメンバーの力量や経験値などを使って作り上げたものです。それを現メンバーがそれを再現できるかといえば、ちょっと難しいかもしれません。それでも、この授業をすれば、子どもの反応はこんな感じだ、という見通しはある程度たちます。
①教材準備に時間を使わなくて済む
昨年の教材を捨てずに保存していれば、教材準備にかける時間を短縮させることができます。ただでさえ会議などで大きく時間を削られる時期です。新しい環境に適応することにエネルギーも削がれています。
②授業として大崩れしない
試行錯誤やアセスメント中心に物事をすすめたとき、思ったよりも授業がうまくいかなかった、ということがあります。昨年度のものなら、大崩れせず、役割分担もスムーズにできると思います。
③経験則の共有
新しい先生に、昨年度はどうだったかというのを体験的に知ってもらうことができます。一通りやってみて、子どもの実態が分かったり、この集団なりの動き方が見えてきたり、昨年度の成果や経過を共有したりできます。
④今のメンバーの力量が分かる
授業をすることで、昨年度のメンバーと何が違うか確認できます。
【やってみて、どうするか】
一番楽なのは、何も変えず、ただ去年通りやることです。それでも繰り返しのなかで新しい学びや気づきがあったりするので、頭ごなしに否定はできないです。
しかし、それだと昨年度並みという規格品を作っただけで、児童生徒と新しい先生との出会い、新しい文化に触れる機会が損なわれます。
「昨年度と同じものをする」これも現メンバーが落ち着いて仕事ができるようになってきたら、終了にしたほうがいいと思います。あくまで移行措置という押さえでいいと思うのです。
前回は「382)特別支援学校 教室にある『これ、誰の物?』」でした。