担任の先生より OT・PT・ST

387)特別支援学校 アセスメント(評価)はいつやるの?

先日、教員のアセスメントと作業療法士のアセスメント(評価)は違うという話をしました。

与えられた環境や役割のなかで対象者のことが分かるようになり、それに応じて(またはふまえて)何をしていくか決めるのは、だいたい同じです。

集団のなか、個別のなか、それぞれ得られる情報の質や量、内容は異なります。
学校はなんというか、特殊な環境ですが、やり方次第で両方得ることができると考えています。

【いつやるの?】
学級や学年の経営(運営)をしながら、情報を集めることって簡単ではありません。

次の授業は何で、この子のルーティンは何で、トイレにはいつ連れて行って、水分摂取をいつやって、連絡帳はいつ書いて…と場面や仕事が次々くるので、そこをおろそかにしていると集団が動かなくなる、または大混乱に陥ります。

忙しくて、できません」はこのへんからくるのですが、できないかと言えばそうでもなくて、「やり方次第でできる」、と思っています。

【①コマ切れ】
病院とかで作業療法評価していると、「ハイ、手を挙げて、バンザイしてくださいー」、「次は、肘の曲げ伸ばししてみてください」とか言いながら、これはいい、ここはどうだろう?と仮説と検証をぐるぐるまわす訳じゃないですか。

学校では、なかなかそんな時間枠はないです。なので、一緒に歩いている間にこれを確かめて、トイレから立つときにこれを確かめて…と場面ごとに細切れに評価していきます。そのため、当然まとめあげるのに時間がかかります。でも、いろんな場面で検証するので、場面限定のパフォーマンスだ、この要素が加わるとできなくなるのかな、とか生活場面でしか見えない情報が手に入ります。

しかし、生活場面で情報が入り乱れているが故に、「何をみているか、しっかり意思をもっていないと、訳が分からなくなる可能性大です」

【②誰かに投げる】
以前にも取り上げたのですが、自分はやっぱり見る余裕ないです、というときは誰かに投げます。
「この時に、こうなるのが気になります。」「なので、この場面でどうなるか見て、様子教えてください」これでだいたい分かります。

しかし、頼む相手を間違えないことが大事です。

学校に来ている専門家の人なら、意図をくんで結果をシンプルに教えてくれますが、同様に忙しい教員や、こちらの意図が理解できなかったり余計な情報を付け足して語りまくったりする教員には頼まないようにしています。

【③個別の時間を使う】
場面ごとに見ていた細切れ評価をある程度凝縮してみることができます。が、普段の人間関係であったり、普段意識してかかわっている姿から少し離れる訳なので、思い通りに評価場面が作れなかったりすることが「あります」。なので、個別の時間は使うけれど、思ったより情報は集まらないので、あまり期待しないようにしています。

他の児童生徒がどこで何をしているか、なども気になるので、個別といえどもピュアな個別はなかなかなく、評価の質は下がります。

【まとめ
特別支援学校の教員になって、評価の仕方はだいぶ変わったなーと思います。他の児童生徒の存在は無視できないので、常時シングルでなくマルチタスクで評価を進めることになり、結構難しいです。

臨床でやっていた評価法や技術をそのまま使うことはあまりないのですが、基礎基本としておさえつつ、今いる環境のなかでどう使うかが、新しい特別支援学校教員が行う評価のカタチなんだろうと思います。

そう考えると、これは誰でもできる評価ではなくて、教員(担任)と作業療法士のミックスだからできるものかも…。

今後も学校の教員になる理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の方が増えると思いますが、おそらく、誰がなっても評価することの難しさを感じ、同じような評価スタイルになるんだろうなと思います。(だって、それくらいしかできることないですもん)