学校の文化 OT・PT・ST

401)特別支援学校 作業療法士が学校経営のなかで機能するには

ちょっと長いタイトルになりましたが、作業療法士が学校経営のなかに入っていくにはどうすればいいのか考えてみました。学校に過度な期待を抱かないための1つの基準として見てもらえたらと思います。

【割り振り】
学校で、どんな専門家に、どれだけの時間を依頼するかは前年度後半に決まります。
予算の配分を決める時期に行わないと、次年度の準備ができないのです。

つまり、年度末に「いい仕事をしたから、時間が増えるかな」とか、「もっと自分が活躍できる時間を増やして欲しい」といった期待や交渉は無駄だということです。

夏休みまでに「これだけのことをしたい。達成するために計画的取り組みたい。」などとアピールして、「何時間は欲しい。」と具体的な数字を出していくと、考慮されるかもしれません。

【職種】
どんな職種を学校に配置するかですが、前年度に次年度のニーズが分かるはずもなく、どんな案件がとび出してくるかも分かりません。そのため、「これがうちの学校のニーズだ」、「次年度重点的に取り組みたいテーマはこれだ」と明確なテーマがない限り、あれもこれもの玉虫色になる傾向があります。

また、専門家も飛び石で都合よく入ってくれないので、多少寄せ集め感がでます。英語を教えてくれる外国人の先生(ALT)と同様、人材確保は学校ごとに行われ、担当の教員が四苦八苦して調整することが多く、とにかく入ってくれたら…という切実な台所事情があるのです。

【作業療法士】
手の専門家、机上課題を行うときの環境設定と認識されていることが多いように感じます。

ADLは観察の機会が少なく、教員からすると指導と言いながら介助の場面になり、相談の対象から外れていることがあります。なので、学校では作業療法士をどのように活用したい(している)のでしょうか?という確認は必要で、十分活躍の場があると思われたら、そこに集中すればいいし、まだできることがあるぞという場合は、事前に「こんなこともできます」とアピールすると、門戸が広くなります。

依頼されたら自分が責任をもってやらないと、と感じるかもしれませんが、「この案件の、この問題は、この職種の人に見てもらえばよい」などと各種専門家の得意なことを把握して割り振っているケースはあまりないので、気負わなくていいのに…と感じることがあります。

また、案件一つひとつとっても、一人より二人で見て考えた方がいいことも多くみられます。そんなときは、「この課題は、以下のような点に取り組めば、今より良くなります。が、これについては言語聴覚士さんに確認してもらったら、より詳しい対応策がでるかもしれません。」とチームで取り組むこと、チームが成長することを期待して話をふると、学校として様々な専門家を活用するスキルアップにつながるので、やってみて欲しいと思います。

【案件ごとにチームをつくるメリット】
①目の前の課題について、様々な理由があり、様々な対応策があることが学べる。
②教員だけでなく、専門家同士でスキルアップできる。
③チームとして取り組むノウハウが蓄積される。
④その学校が必要とする職種と、その割合がだんだん見えてくる。
⑤誰でも困難さを克服できることが分かれば、いわゆる「できる先生」に負担が集中することが回避できる。

【その他】
予算や配当時間が存在する以上、専門家同士でそれを食い合う状況になるのは避けられません。

成果は、どれだけ専門性が発揮できたかではなく、学校の組織に、教員にとって役に立ったかです。
単独で力を発揮するか、専門家を含めたチーム力を発揮するか、いろいろありますが、「この人がいれば安心」、「この人がよく事情を知っている」、そう思われたら、なかなか関係を解消することは難しいです。

これって、「依存関係」ですよね…。

しかし、これが学校に根付く、重要な観点であることは間違いないと思います。



前回は「400)特別支援学校 はじめとおわりをつくる」でした。