担任の先生より OT・PT・ST

417)特別支援学校 児童生徒の成長対応について

こどもから大人へ、小学部の後半から高等部のはじめくらいまでに、体つきが変わってきて、これまでと同じ支援でいいのか、再考しなければならないときがきます。

ぱっと思いつくのが、第二次性徴、筋肉のつきかたが変わる、骨格がしっかりしてくる、のどぼとけがでてくる、などの変化です。

大事なことは、「変わったねー」、「大きくなったねー」といった目に見える変化に感嘆の声をあげることでなく、それをふまえて生活をどうするか考えることです。もちろん、小さなこどもであっても、いずれは大人になっていくことを見越して準備するのも大事だと思っています。(予見しようと思っても、その通りいかずに大ハズレすることもあります。それでも、思いめぐらすことは必要です)

【あらわれた変化】

少し列挙してみます。

①体重
筋肉が太くなり、骨格ができ、脂肪がついてくると、体重が増えます。

体重が増えたことで女性の職員がつきにくくなりました。一度介助に入ったら、職員が男性であろうと、女性であろうと求められることは同じです。しかし、体力的に厳しいと、支えきれなくなったり、転倒させてしまったりするリスクが増大します。

やせぎみで体力が十分でない子どもの体重が増えると、元気になってきたと喜ばれます。また、筋ジストロフィーなどをもっている子どもについて、やせてくると背骨が曲がる側彎(そくわん)がでやすいですが、ある程度太くなると安定性が増して側彎ができにくくなるケースがあります。

子ども自身も、自分の身体がうまくコントロールできず、動き始めがしんどくなるので、太る⇒動きにくい⇒運動量低下⇒太る、というサイクルにはまらないよう留意します。

②パワーと持久力
大人の身体にできあがってくると、瞬発力やパワーが増すことがあります。その反面、重さや一つの動きに消費するエネルギーが増大するのもあってか、持久力が低下します。

なんとか介助歩行ができていた子どもが歩くことを拒否して座り込む、などがたまに起こります。

そうなると、介助者は大変です。道中立たせることができず、かといってその場を離れる訳にもいかず、困り果てて応援を要請することがあります。そうなると、歩く距離を短くする量的な課題と、坂道や階段などをクリアしていく質的な課題について、どこをどう調整するか検討することになります。

③変形
足部の外反扁平(がいはんへんぺい)などが顕著になってくると、歩くことが変形を助長することになります。そのため、装具などを使って足関節が安定するよう工夫します。

しかし、これもいいことばかりでなく、両支柱付靴型装具は重くなって足が上がりにくくなります。また、足関節がガッチリ90度くらいの角度で固定されると、床にしゃがみこんだときに股関節や膝関節にかかるねじれの負荷が増大することがあります。

④関節可動域制限
筋肉がしっかりしてくると、膝が伸びにくくなったりします。緊張が持続的に入って筋肉が伸びにくくなった、骨の成長に筋肉が追いつかなくなってきた、同一姿勢をとることがどうしても多くなる、などが原因として考えられます。

車椅子などの福祉用具
縦にも、横にもサイズが合わなくなってくることがあります。
室内用、室外用と2台を使い分けながら、2年に1度くらいのペースで作りかえています。
作ろうといい始めてから半年近く日数がかかるので、完成する頃には、また身体が変わってきたと慌てることがあります。

【まとめ】
心身の変化が見られたとき、とにかくできることをと突っ走る、ネガティブな変化にならないようにと過剰に消極的になる、ネガティブなことは見て見ぬようにする、などが時折見られます。

大事なことは、今の状態を様々な面から見て理解し、やっていいこと悪いこと、何をどこまでするか、どれくらいするか基準を決めて。生活をデザインすることだと思います。

そうして、一度決めた基準も惰性で継続するのではなく、支援者同士で意見交換しながら、定期的に見直して修正をかけていくことが必要だと思います。


https://magomago1.org/416schoolmealsometimeshard202105/
前回は、「416)特別支援学校 給食あるある」でした。