学校の文化 担任の先生より

418)特別支援学校 校外学習の不寝番

宿泊行事として、修学旅行や校外学習などがあります。

実施案の作成、実踏(下見)計画、給食の欠食届、部屋割り、アレルギー調査、事前・事後学習など、見えない仕事が山のようにあります。

今はリタイアした先輩(教員)から、昔は家と学校の往復で、どこにも行けない子がいるから宿泊行事が行われるようになったという話を聞きました。今は制度が充実し、積極的に外出している児童生徒もいるなかで、宿泊行事の役割や意味合いは変わってきているのだろうと思います。

【寝ない】
不寝番(ふしんばん)はその名の通り、寝ないで番をするということで、肢体不自由を主とする特別支援学校で、よく見られます。常時、または1時間おきなどに児童生徒の様子を観察し、必要に応じて介助等を行います。

【何をするか】
呼吸に関する酸素等の管理、吸引といった医療的ケアにかかわるものから、おむつの交換、姿勢変換、体温管理と調節などがあります。

【どう過ごしていたか】
例えばですが、私が行った不寝番は体位変換、布団の中でこもる熱気を少し出す、を1時間か2時間おきに行うものでした。夜9時頃消灯し、そこから一晩寝ないで様子を見ることになります。

いかにも座って起きていると、児童生徒がそれを見て寝るモードに入れないことがあるので、壁にもたれて、寝ているかな?という姿勢をキープします。(横になると、日中の疲れが出て、寝てしまうかもしれません。)

室内のテレビも光がもれ、丑三つ時くらいになると番組が終わってしまうので、不寝番には不向きです。宿泊行事に行き始めた頃はipod(アイポッド)に曲を入れて、それを聴いていました。しかし、それだと聴覚のみの刺激で、いつの間にか寝てしまいそうになると思いました。なので、ヒマつぶし程度に利用し、後はひたすら考え事をしていました。

次に利用したのは、携帯用のブルーレイプレーヤーで、3万円弱だったと思います。
それを密かに持ち込んで、事前に準備していたディスクを入れて観ていました。

おすすめは、ドラマなどの続きものです。
映画もいいのですが、節目がないので時間の感覚が曖昧になり、眠気がでると歯止めがききません。

何話分観たかによって、砂時計のように時間の経過が感覚的に分かります。
1話ごとに話のオチがあるので、リフレッシュしながら過ごせます。

今ではスマホがあるので、それを使うと思いますが、Wi-Fiがないと厳しいですね。

【食べられない】
姿勢変換などを行い、ドラマを観まくっているうち、空が白くなってきました。
顔を洗い、平常のモードで引率するように自分を立て直そうとします。
検温などを行い、着替えの支援もして、朝食に部屋に向かいます。

しかし、昨日の夜に食べた物が胃の中に残っているような感覚があり、胃が食べ物を受け付けません。
お金を払っている以上、食べないと損だと思っていましたが、その時はさすがにお金を払ってまで、なぜこのようなものを食べなければいけないのかと思いました。

【調整休】
宿泊の間、休憩時間に該当する時間まで仕事をしているので、後日調整休を使います。
それも含めて、ずれてしまった体内時計と体調を戻すことになります。

児童生徒は翌週には普通に登校してきて、授業も受けます。
なので、担任の先生は宿泊に行く前にある程度の準備をしておかねばならず、調整休で出勤しない教員の穴を埋めながら、どうやってその日を乗り切るか計算しておくことが必要です。


https://magomago1.org/417growingupisnotalwayshappy202106/
前回は、「417)特別支援学校 児童生徒の成長対応について」でした。