医師・介護・看護 担任の先生より

458)在宅介護、生活支援を家族がやれば…。

特別支援学校で教員をしていて、教員はそれぞれ役割分担されているけれど、休んだときにどうする?
ということを念頭に置くようにしています。

休むことで教職員のコンビネーションや役割分担に変化が生じます。
目や手をかけるところと、見守りになるところがでることがあります。
慣れた教職員が休むと、初めての人が人員補充のために指導体制の中に入ってくることがあります。

その結果、普段できていたことができないミスが起こる支援方法が周知されておらず停滞する、などが生じます。支援する教職員の側からすると、「限られた人的資源のなかでやっているんだから、仕方ないじゃないか。」だと思われるでしょうが、支援を受ける側からすると、「人が変わってもできるようにしておくのが当たり前だ。」と考えられ、不満となって噴き出てくることが想定されます。

【在宅介護の場合はどうか】
自分たちの親世代も、加齢により後期高齢者世代となっていくことでしょう。
介護保険が始まったとき、施設から住み慣れた自宅で、ということでホームヘルパーやリハビリテーション技士が広く養成されるようになりました。

これによって、サービスとして介護を捉え、家族以外の人が支援することが奨励されるようになりました。
しかし、最近要介護度が1や2の方や、要支援の方へのサービスが難しくなってきています。

訪問介護による生活援助(家事代行)については、原則、同居の家族等がいる場合は利用できません」ということが言われるようになりました。

あれ?家族の負担を、嫁になった人の負担を軽減する制度でなかったっけ??
とにかく、住民票に関わらず、同一の家屋に居住している場合と、同一敷地内に居住している場合は同居とみなすらしいです。

となると、家族は毎日家族の誰かが日中食事や服薬の支援をしなければならないというプレッシャーを感じ、「なんとか工夫できませんか?」という言葉を出されると、就労や就学について制限をかけざるを得ない場合もでてくると思いました。

この状態は指導体制の余力がない学校の教職員の状況と似ている、と感じました。

【家族がヘルパーになったらどうか】
学校の指導体制のように、誰かが不在になれば、誰かがカバーすることができればと思いました。

同居の家族であっても、ヘルパーとなって事業所に入り、自分の家族をみるようにすれば収入になるし、自分が直接支援できるし、体調が悪くなったりしたら誰かが代わりにきてくれる、ということです。

しかし、この案はダメで、「訪問介護員の親族への訪問介護サービスの提供のうち、同居家族については、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第25条のとおり禁止されています。」とあります。やはり、家族だからということで、ケアプランの内容通りに仕事をしないケースが続出するからかなぁと思います。

しかし、八尾市が平成19年に出した「別居親族による訪問介護サービスの提供について」では、「利用者が認知症状を有する等により、別居親族である訪問介護員の対応を必要とするやむを得ない理由」は制限がないものとして認めています。ただし、親族が事業所に従事し、居宅サービス計画に基づいたものであること、訪問介護事業者がサービス提供状況の把握と監督に努めさせる事などが示されていました。

【調べてみて】
自分たちの世代は、なんとなく「親の介護は家族がするものだ」という価値観と、「個々の生活実態をふまえ、様々なサービスをうまく活用する」という価値の間にいる気がします。

家族が生活支援について煮詰まった時、ふと休みたくなったときにサポートがないのはきついと思います。
そんなとき、家族が介護職になって生活を一部有償で支えつつ、事業所と連携して抱え込みを軽減するのはダメなのかなと思いました。
介護のために仕事を辞めて、経済的に苦しくなった事例を考えると、アリなのではと思えますが、実際どうなんでしょう。

https://magomago1.org/457learnaboutteacherspension202108/
前回は「457)特別支援学校 教員の年金計算」でした。