担任の先生より OT・PT・ST

496)特別支援学校 人を見て態度を変えるのはありがち

「うわー、〇〇先生とだと、静かに食べるねー。
いつも気に入らないと、そっぽを向いたり、口を閉ざしたりしていますが、今日はとてもいい子です。

相手が誰か分かり、初めてだと分かると、しばらく緊張して言うことを聞きます。
そうして、どれくらい自分に合わせてくれるか、害がないか見ています。
大丈夫だと分かると、今度はどこまで許されるか知りたくなってイタズラを始めます。

たまたま応援や、その時間だけ様子を見に来た人の評価は「大人しくて、素直に食べるいい子」

普段かかわっている人からすると、もっている身体機能面を発揮するのは気分次第、促してもその通りにいくとは限らない、下手に持ち上げると調子にのるので日常につながる動作になりにくい、という評価になります。

このギャップはどこからくるのでしょう?
先生の指導力の違い?甘え?

いえいえ、この場合はいたってシンプルな子どもの心理といえるでしょう。大人だって、初めて会う人で前情報がないと身構えて、相手が何者か探りながらどんな関係を築くか考えると思います。それと同じようなものだと思います。

【本ケースの指導例】
その場限りをうまくやり過ごして終わりならば、楽しく、ノリノリにのせてやり過ごすのもありでしょう。しかし長い目で見ると、対話しながら人間関係をつくる、相手を尊重する態度や自律する態度を育てることを念頭に置くならば、それでいいと思えないのです。

今は何をするところ、それが分かる子どもならば、この状況ではどんなふうにして欲しいか示すことが大事だと思います。まだ、そこがよく把握できていないようならば、基準を設けてブレない態度で継続的にかかわることが必要かと思います。もちろん、楽しいときは楽しいでいいのですが、基本この人はこんな人だと示すことが、子どもを迷わせない支援者の態度ではと思うのです。

【人が分かり、態度を変えるならば】
一見さんの支援者は、初めてでうまくいくだろうか?と不安です。

ところが、やってみて思いのほかうまくいったとき、「自分の働きかけが良かった。普段かかわっている先生はうまくできていないのだ」と思い込んでしまうケースがあります。

理想的な形で終えられたのは、指導力や知識・技能の賜物ではなくて、子どもの環境適応に惑わされていることがあります。いつか、このようにして自信を深めた先生が、その学級に代理で入り、子どもが慣れてくると、機能不全になってしまった、というのを見たことがあります。

普段の様子はどうか、一見さんの先生のしている内容が普段の支援の方法と違うか、人に慣れるのにいつもどれくらいかかるか、などの情報を得ることで、「できるADLと、しているADL」のギャップを知ることができると思います。


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前回は「495)特別支援学校 給食の味がおかしい、でも多くの先生は気づいていなかったという話」