学校の文化 担任の先生より 未分類

497)特別支援学校 まずまず動ける、でも危ないという子どもの指導を組み立てる

特別支援学校には、何とか歩ける、でも側にいないと転倒や転落、他者との接触が想定できるので危ない、という子どもがいます。

車椅子や歩行器を使わない、歩くことになれば何歩か歩ける子どもも「歩くことができる」と評価され、歩かせなければ悪だ、みたいに見られることがあります。脳性麻痺をもつ子で腰が反って、ハーフスクワットを常にしているような姿勢のまま、どんどん歩かせましょうという教員がいましたが、その姿勢のまま自分ができるのか「やれるものならやってみろ」と思ったことがあります。話は脱線しましたが、戦略なくして生活をデザインするのは難しいと思っています。いくつか観点があるので列挙します。

【身体だけの問題でない】
先に挙げた「腰が反る、ハーフスクワットをしているような」のような状態であっても、日常生活を自立して行っている人はいます。なぜ、身体的に負荷がかかる状態であっても生活を維持できるのでしょうか。

①自分にかかっている負荷がどれくらいか分かり、休憩などを自分でとることができる。
②安全で、過負荷にならない導線を選んで移動できる。
③便利なものをうまく使うことができる。(福祉用具、車、公共交通機関など)
④身体のメンテナンスができる。
⑤このまま進んで大丈夫か、予見しながら行動できる。(リスク管理ができる)
⑥事故に合いにくいルーティンやルートを知っている。

これだけのことができれば、かなり自立して生活を送ることができると思います。

3つに分類すると、高次脳(頭)と身体と環境に分けられると思います。

脳であれ身体であれ、ここはどんなに頑張っても難しいことは難しいと認め、それをふまえて、残ったものを総動員すればできるのか考えます。課題が10あれば、4つクリアできれば残りの6つに集中して練習ができます。できることからクリアできるよう行動します。それは日々の練習かもしれませんし、ちょっとした道具の工夫かもしれません。

【はじめから終わりまで試せ】
この子は〇〇が難しいから、衣服の着脱はできないよね。

と言う前に、例えば、服を手に取るところから着て、脱いで、片付けるまでの過程で、どこができないか、どこならできているか整理してみましょう。引き出しを開けることならできる、服を選ぶことができる、手を通しさえすれば肩まであげることができる、それだけでも自己有能感がもてると思いますし、そこを起点にしてできることを広げられるかもしれません。

できる点を増やしながら、地道につないでいきます。そこをやりきったら、「どこを支援して、どこは支援せず見守る、見守るときのポイントはここだ、どこを支援する」など根拠のある支援の流れができます。

できれば、ここまでを引継ぎや詳しい人から聞いて把握するのではなく、自分で日々のかかわりのなかで考える、試す、仮説を立てたりつぶしたり、を続けて獲得して欲しいと思います。


https://magomago1.org/496firstmeetingmakeaboyshy202110/
前回は「496)特別支援学校 人を見て態度を変えるのはありがち」でした。