私のいる特別支援学校では、介護等体験の受け入れを行っています。介護等体験は現在、教員免許を取得しようとするときの通過儀礼の1つで、特別支援学校や介護福祉などの現場に行って勉強することになっています。
大学から受け入れる学生さんの人数は、年度が始まる前に調査が行われ、どこの学部の行事や水泳指導に何人のマンパワーの追加が必要か考え、どの行事に何人必要か希望を出し、全校で数をとりまとめて提出することになっています。
次年度に、児童生徒が何人になり、教職員にどんなメンバーが入るか分からない状態で人数をはじき出すのは、学生さんにきちんと指導できるか不明確なのに…と思うのですが、「うちは必要ないです」と言うと、「あ、あなたの学年は基本的に応援などを入れなくても大丈夫なんだね」とその年度内の指導体制に関するサポート対象から外されてしまうかもしれません。それを恐れて、マンパワーとして希望を出す一面があります。
もともと、現在の学校教育事情(ニーズの問題や指導の質など)をふまえると、明らかにマンパワーが不足している状態で年度内体制が組まれていることに疑問を感じます。始めから充実していれば、とにかく人材確保に走ることはないのです。
【誰がくるか、受け入れる側が知らないことも】
要望を出して数か月、新年度が始まって行事や授業づくり、学校生活環境づくりに追われるなか、どこの学生さんが、いつ頃、何人学級に配置されるか、事前に知らされていないことが多いです。行事が始まる頃、「〇年生に学生さん1名入ります」といった告知があり、そこから名前も知らないまま当日を迎えてしまうことがあります。
そのため、というと言い訳がましくて嫌なのですが、朝の職員打ち合わせの後、児童生徒のお迎えに行く前に学生さんに声をかけて…と思っても誰を呼んだらいいか分からず、学生さんが職員室の隅やロビーで待ちぼうけ、学校によって、年度によってですが、見られることがあります。
なので、そんなときは介護等体験の担当の先生か、入ることになっている学部主任の先生を探してもらい、行くべきところを教えてもらうことが一番確実で早い方法になると思われますます。(そんなとき、実習担当の教員、きちんと事前連絡と案内をしとけ…と内心イラっとしています)
【連れられて】
学級の教室で児童生徒と荷物の整理や、連絡帳に目を通していると、学部主任に連れられて、学生さんがやってきました。そこで初めて両者が互いの存在を知るのです。まずすることは、学生さんが抱える荷物です。どこに置くか指定し、暑い時期だとお弁当が腐敗するかもしれないので、物によっては冷蔵庫を案内します。
次に、学級や学習グループに在籍する教職員の内訳、児童生徒の人数やおおまかな特徴について説明し、とりあえず見学から入ってもらいます。朝の会では大抵そこで学生さんの紹介と自己紹介があるので、氏名、学校名、学年、簡単な抱負を言ってもらっています。教育実習生なら長くなるので質問コーナーなどを作って、少し馴染む時間を作るのですが、介護等体験は2日間なので、顔見せくらいになります。
挨拶の例として、こんな感じです。「おはようございます、介護等体験で来ました、〇〇大学〇年生の、まるわたろうです。このたび水泳指導などがあるということで、とても楽しみにしています。2日間、よろしくお願いします。」
教育実習のように、「見る、やってみる、できることを担う、授業をつくる、知る」といった多くは求められず、「見る、できることをする、知る」がほぼすべてだと思います。なので、車椅子の使い方や留意点、授業ごとにどのように支援するかやってみる、教員が指導の中で何を考えて指導し、何に留意しているか聞くことも重要な学びだと思っています。