担任の先生より

649)特別支援学校 それ、つかむな!破るな!触るな!

昨日、列をつくる話で思い出したのですが、廊下や教室のものをひきちぎる、触る、といったことがあります。

【被害を受けるものたち】
廊下の掲示物
教室のセキュリティのパネル
防災警報のスイッチ
タオルかけ
授業カード
などです。


【対策】
「物があるから触るんだ」
そうです、一理あります。
なので、それらがなければいいんだということで、「刺激になるものは置かない、見せない」が合言葉になる場合があります。警報スイッチも、むき出しになっていると、押して欲しそうな顔に見えませんか?かといって塞いでしまうと、本来の目的が達せられなくなるので封印する訳にはいきません。警報スイッチは、「紙の覆いがかぶさっていて、必要なときは上方にめくれば使えます」、がよく行われています。

視覚情報で気になるものを作らない、が合言葉で、紐がぶらぶらしていたり、紙がめくれてたなびいていたりする物を出さないことで破損されるリスクを下げるのです。

【なぜ?】
そこに山があるから登るんだ、のように「やりたくなるものが見えたら、やっちゃうんだもん、仕方ないじゃん」というのが彼らの主張だと思います。

彼らの多くは「どこで、どうする」など目的意識がもちにくく、目先の刺激に振り回される傾向があります。多くの視覚刺激をたくさん拾ってしまい、どれをとればいいのか分からなくなることもあるでしょう。感覚刺激が欲しいから、おとなの気を引きたいから、なども入ってくるかもしれません。

日常の様子から、この子はなぜ、この行動にいってしまうのか仮説をたてます。
よく、特別支援教育関連の書籍で、「こんなことをしてしまう子は、これが原因で、こうすればいい」、みたいな手引きがでていますが、あくまでそれは原因をつきとめて対応する例であって、エラーが出た時はこうする、というマニュアルではありません。仮説の数は知識と経験に比例する気がします。早めに効果的な指導ができるには、観察や文献や支援者同士の会話などから学ぶしかないのかなと思います。

【実例】
もう15年ほど前に、廊下のものを破りながら通る男の子がいました。
それが、いつの間にか、破ることがかなり少なくなりました。
何が良かったのか、はっきりこれだと言いきれませんが、日常的に「何を、どうする」、「何が、良い」が分かるようになってからかなと思います。

子どものスイッチはいろいろあって、うまく押したらぐんと伸びますし、変なボタンを押すと誤学習が積み重なって修正するのに苦労したりします。