担任の先生より

659)特別支援学校 登下校、靴を履く

ここは日本ですから、上履きと下履きを履き替える文化があります。
産まれたところが欧米諸国だったら、靴など替えることなく、まっすぐに教室に向かえるのですが…。

【肢体不自由】
車椅子にのっていて、ストレッチャータイプの車椅子を使っている子どもが履いている靴で多いのが、足をどこかにぶつけてケガをしない、または保温のための靴(またはカバー)が多いです。

教室に着いたら、移乗がありますし、温度などの環境も整うので上着やカバーを外します。代わりにといっては何ですが、体幹をサポートする装具や、足首を90度近くで保持するプラスチック装具を着けることがあります。

これらは、その場は身体的に落ち着いたりしますが、数時間以上つけっぱなしになるときのリスクに配慮します。圧迫して跡がつかないか、血流などが阻害されないか、動いてみたいときに動けるか、などがありますが、このへんは1時間以上かかわる生活の場だからこそ見えてくるものではと思います。

【知的障害】
靴箱まで移動できるか、自分の靴箱の所在が分かるかがはじめです。
次に、靴を履き替える手順を踏んで行けるか、です。

よくあるのが、履いている靴と、これから履く靴の区別がつかなくなる。
今から履くことになる靴はどれか分からなくなる。
右と左の区別(履いてみて、感覚的におかしいなと気づけるか、も評価の観点として大事)
靴の着脱をするときの姿勢保持

靴に足をいれるということは、片足を上げるということです。片足を上げる運動はできたでしょうか?手をどこかにつけばできる位だと、その手は靴を履くために使うので、どうやって姿勢保持を保証しましょうか?

椅子に座ると、ゆっくり手順を確かめられますが、余裕が出過ぎて注意が転動しがちになるかもしれません。
壁などにもたれれば、倒れないで足を上げられますが、いい場所に壁はあるでしょうか?

【確認すること】
何をどこまで指導したらいいか分からない、という声を聞くことがあります。

その前に、「すべてについて、指導目標が必要か」、「どの場面について重点的に指導するか」と考えれば、焦ることは少なくなります。まずは、安全に、自分でできる環境はどう作るか考えることが先です。毎日することですから、万事声をかけて、手を出していたらキリがありません。ヘタをすると、大人が常時手をかけないと前に進めない子どもがでてきてしまいます。

自分でできることで自尊心は高まりますし、このようにできる助言や環境づくりをしてくれる先生だから、言うことを聞いてみよう、これが指導者への信頼だと思います。媚びない、必要以上に持ち上げないことが大事です。