以前、音楽を学校生活のなかで活かす(学校では、生かす、らしい)記事を書きました。
その音楽で始めと終わりが分かる、その曲を聴けば何が始まるか分かる、その曲を聴けば小学部や中学部、高等部のある時期やイベント、一緒にいた人のことを思い出す、などです。
勿論、音楽は心を豊かにし、感性を磨き、音のなりたちや楽曲をつくるときのルール、歴史なども学ぶことができます。しかし、特別支援学校の個別指導計画(成績)では、成果や指導目標を明記することが求められるので、目に見えないもの、できたかどうか評価しにくいことは、あまり言語化されません。(物事を科学して解釈できないと、作成が難しいということになります)
【思い出だけでないもの】
あの児童生徒を見るのはこれで最後か…と、学校や学内異動をするたびに思います。
10年後にもう一度会うことがあり、かかわることができたとしたら、教室で聴いた音楽をもう一度かけてみよう、そうしたら、当時のことを思い出すだろうか…?と。
どれくらいのことが思い出されるでしょうか?人、学習課題、エピソード、そうして、当時感じたことと今感じているものは同じだろうかと聞いてみたいです。
曲をもってきた教員にも、同じことがあてはまります。その時、あの児童生徒を見ながら考えていたこと、価値観やものの捉え方は変わったか、もう一度指導するなら指導目標や指導方法は変わったか、変わらなかったか、などです。
音楽のデータはパソコンの中と、CDに残してあります。時間を知らせたりする指導で活用したものは代々使うので、これだという記憶は出てこないのですが、その当時流行った曲なんかは、時代や年度とリンクするので、すぐに当時のことが思い出されます。
また、その曲は〇〇学校の〇年〇組をみていたときだから…何年前だ、と数字で出すこともできます。何気なく日々に追われていると、何があったか、その記憶はいつのものだったか曖昧なまま過ぎていくことが多いのではと思います。しかし、音楽やエピソード、節目節目をたどることで、どう生きてきたか教員自身も確認できるのです。
【老いたときに使える?】
老年期のリハビリテーションでも、同じようなことが行われます。
歌を聴き、昔のエピソードや芸能人の写真を見て、何をしていたか語り合う、などです。
教員も年をとります。
そうして、日々を暮らすだけの毎日、教材などはかさばるので捨ててしまったかもしれません。しかし、思いを込めて使ったCDなどは残しておくのが良いと思います。記憶をたどる旅、失われかけた自尊心、当時の自分の言葉を思い出して勇気がでるかもしれません。
ちなみに、リタイヤした先生が気にいっているのは「およげたいやきくん」、「贈る言葉」でした。あなたの思い出の曲は、何ですか?