医師・介護・看護 担任の先生より

700)特別支援学校 興味があることから学ぶ

図書館にやってきました。

いろんな本があるなぁと思いながら、書架を見て回ります。

この、ブラブラして本を見て回るのを「ブラウジング」といいます。このブラウジング、目的の本を探すには効率が悪いのですが、図書館の蔵書の傾向を視覚的に把握することができますし、端末からの検索にはない、衝撃的な本との出会いが見込まれる方法です。

この日は、あまり深く考えたり、頭を使って謎を解き明かしたりする気分ではなく、昔の地域の街の様子を写した写真集などを見ていましたが、その他に目についたのが「肩こり」や「腸の健康」などの健康シリーズでした。

【身体のこと】
以前、子どもの状態を知るには経験則だけに頼らない、基本的な医学的知識が必要だと言ったことがあります。それは今も変わらないのですが、職業への責任感だけでは使える知識にはなりにくいと感じています。

医療職にいる人も、解剖学や治療学などをつめこんで、すぐに根拠ある治療を形にできる訳ではありません。スタンダードな治療法をあてはめてみる、医師の判断をふまえて手技を工夫する、思わぬ見落としや失敗をする、そんな営みを積み重ねて大きくなっていきます。そこには、達成感や興味関心、落胆や不安などの感情を伴っていたと思われます。

解剖学、運動学など基礎的なものは膨大な知識を詰め込むことから始まります。学生ではなく、仕事をしている人に対して、それが身に付くまでは子どもを理解したとは言えないので、触らないで!とは言えません。では、どうすればいいのでしょうか。

職員間で話題になっていることをネタに、研修会や個人的な助言を行う。

腰痛や肩こり、介助方法など、長期休業中や、授業後の教材研究時間に知識や技術や理論について説明します。

私は子どもの指導をしながら、具体的な形で説明することがあるので、「子どもの前で大人同士の話はしないで!」とは思いません。支援者の同士を作り、育てることも大事な支援の1つだと思うからです。とにかく、具体的な困り感のあることを解決してくれる時間は、意識高い系になって知識を吸収できるチャンスです。納得できるまでやってみて、ちょっとでもできたら「すごい、できる、できる」と褒めれば完了です。子どもは褒め過ぎると勘違いすることがありますが、大人はそれなりの理性や自制がききますし、普段から褒められていないのでモチベーションはうなぎのぼりです。

この個別や小グループ対応の助言・指導を行うには、外部からだと厳しいと思います。「課題を共有し」、「必要に応じてサポートがはいる」、「やってみて疑問に感じたことがあれば、すぐにフィードバックが受けられる」、これらが満たされることが必要だと思うからです。そのためには、校内人材の選手層を厚くするしかありません。

個人の指導力をあげるのではなく、組織的に、チームとしての力量を底上げするには、専門性を補完する人材を一定数配置し、彼らに容量一杯の仕事を課さず、人材を育てる種まきを意識させることが大事だと思いました。

【余談ですが図書館の蔵書について】
たくさんの本があって、見ていてワクワクしています。が、古い本は、やっぱり古いなぁと思いました。それは何かというと、「定年退職後のボランティア」、「東京での一人暮らし」など、今の価値観からすると、そんな余裕はないよーということが書かれているのを見たからです。そんな古き良き時代の名残を眺めるのも、面白かったりするんですけどね。