特別支援学校にも教室移動があります。
移動は子どもが走っていってしまったり、転倒したり、ぶつかったりするリスクがあるので、教員の付き添い方も一工夫が要る場合があります。
それでも移動が必要な理由は、集団の規模が大きくなると、それ相応の広さがある場所を使わなければならないとき、楽器や体育に関する特別な道具があるところで授業をする必要があるとき、活動の内容にふさわしい場所が必要なとき(グラウンドなど)があるからです。
ご存じの通り、特別支援学校には知的と肢体の学校が併置になっているもの、小学部と中学部などがセットになっている場合がよくあるので、場所の調整も不平等さが少なくなるよう、分け合って使っているのです。
【机と椅子】
集会など、場合によっては床の上に座ることがふさわしくないとされる時間もあり、そんなときは知的の学校だと教室にある椅子を運んで使います。場合によっては、児童生徒が階段を両手でもって上がることがあります。
「みなさん、椅子を運んでいってください」というアナウンスがあれば、椅子は運ばなければならないのですが、児童生徒が自分で運ぶのか、教職員がまとめて運ぶのかは担任の判断になります。
もし、周りの学級は子どもに椅子を運ばせているなら、うちもやらなくちゃいけないのかな?と思ってしまいがちです。「あなたのクラスの子は昨年度、椅子をもって階段を上り下りしていたよ」などと言われると、「とりあえずやってみないといけないのかな」とプレッシャーを感じてしまいます。
子どもができることを日常に取り入れる、教員が子どもの活動の機会を奪っている、前年度の指導を参考にせず勝手なことをしている、などの同調圧力にさらされたくないと思うでしょう。
【提案】
年度はじめ、子どもの実態がつかみきれない状況だと、前年度やっていた先生に、「去年はどのように教員が「ついて、何に留意して移動していましたか?」と聞くことで不安やリスクを緩和させることができます。もし、何等かの事故があった場合、前年度の引継ぎ通りにやっていたのなら、責任追及は多大なものにはならないでしょう。(職場内の雰囲気として)
ともかく、子どもに自分の椅子を運ばせるか、ですが、身体機能的に独歩(何ももたずに一人で歩く)が難しいと感じる場合は、床を押す以外(持ち上げる)はさせません。無理をすると、転倒や椅子のパーツに足をぶつけてアザをつくってしまうかもしれません。
膝に体重をかけるのが苦手な子どもが、椅子をもって階段を上がろうとすると後方に転落することが想定されます。
注意が転動しがちな子どもだと、椅子を友達にぶつけてしまうかもしれません。
教員がそばについて、有事にはすぐにフォローできる場合は指導として取り組むのは可だと思いますが、教員の数と子どもの数がアンバランスで、マンツーマンになった子ども以外は見守ることしかできないような場合は、集団の状況を客観的にとらえて椅子を大人があらかじめ目的地に運んでおき、列を安全に組んで移動できる、自分の椅子を探して座ることができる、を目標にすることを勧めます。