特別支援学校を卒業した後、進学、一般就労のほかに、生活介護事業所に行く方もいます。
ここには、障害支援区分が3~6に該当する人が利用申請できます。ざっくり分けると、特別支援学校の作業学習でやっているような「仕事を中心に行う事業所」と「療育を中心に行う事業所」の二つに分類されます。
ここで、考えてしまうのが「どうせ仕事」というならば、一般就労のほうが良いんじゃないか?という点です。もちろん、一般就労ともなれば各都道府県で決められた最低賃金が保証されることになり、保護者や年金に頼らないような将来の自立につながると考えがちです。
【続けられることが大事】
しかし、一般就労となると、求められるものも大きいです。質的に、量的に過負荷だとしたら、その子はいずれ出勤できなくなると思います。「できるからいける」ではなく、「できる」も含めて、個々のもつペースが尊重され、余裕をもって過ごせることが大事です。
「この子は、重量挙げで80キロあげられるようになったから、一日60回挙げる仕事も大丈夫よね」
「この子は50m走が得意で、走ることが好きだから、ハーフマラソンもできるよね」
「5歩歩けるようになったし、来月の遠足は歩いていけるよ、大丈夫だよね」
みたいな感じです。
それは見守る人が就労先について客観的にみられるか、自分だったらどうなるか、と考えられることにかかっています。とにかく賃金が高いところ、受け入れ先をこのへんで決めてしまいたい、家から通いやすいと負担が少ないから、などの理由でゴリ押しするのは、よくありません。
【卒後に向けて、大事なこと】
児童生徒一人ひとりのゴールによって、業種によって、場によって「できるようになっていて欲しい」といわれる項目や観点は異なります。
・人が多いところでいられるか
・日常生活動作(ADL)などで、一人でできるところがどれくらいあるか
・予定変更などに、どれくらい対応できるか
・あいさつを含めて、相手とやりとりできるか
・好きなこと、得意なことがあるか
・言われたことができるか
・何をしたらどうなる(予見性)が分かるか
・何かに向けて頑張ろうという気持ちがもてるか
・自分は役に立てるという自己有能感がもてるか
・自分は何をする、と自覚できるか
【段階付け】
発達段階からすると、何歳レベル
学校で設定した、学部ごとに身につけたい力
こういった基準を設けることで、卒業するまでに何が必要かチェックリスト的に確認することができます。しかし、それを規準にとらわれていると、「何でこの課題ができないんだ」、「期待以下だ」、と思ってしまうことにつながりかねません。
漢文が苦手、基礎解析が苦手、物理が苦手、体育が苦手
そんな人はどこにでもいたと思うのです。そんな人に向けて、「あなたは、これが大事なの」と毎日毎日言われたり、させられたりしたら、どうでしょう?
結果できれば苦労話になりますが、身の丈に合わずにできないまま終わったとしたら、何が残るのでしょう?
人生は1年や3年、6年の期間でなく、もっと長い目で見ることが大事だと思います。(数か月のスパンで見ることが必要な人なら、相応の見方や対応が必要だと思います。)