担任の先生より

889)特別支援学校 毎日のルーティンワークをどうやって習得していくか

ADLのスキルアップ、学校生活をどのように送るかは、どの担任の先生ももっている課題です。

場面ごと、何をしたらいいか分からないし、次に何をすればいいか分からないという場合は、一日のなかで一度しかない機会を使って、順番やパターンが明確なことの定着を図ります。

【給食】
一番多いのが、給食かもしれないと思っています。

食具を出す、エプロンを着る、おしぼりを出すなどです。一つひとつの行動ができて、定着してきたら二つの活動をつなげて、「順にやる」ことにトライしてみます。やったら食事がやってくるので、ポジティブ見通しがもてる時間になるかなと思います。

他にも、朝の会や帰りの会もパターンにはめやすい場面ですので、ここも結構使えます。参加している児童生徒をバラバラに活躍させると、つながりが分かりにくいですし、「いつ、次に何をするか」のタイミングが図りにくいので、あくまで自然な流れのなかで、ここぞという活動を盛り込んでいくのがいいと思います。

【朝の準備】
同じ日常でも、なかなか難しいのが、「カバンの中のものを全部出す」のと、「着替え」です。

カバンの中のものは、毎日同じ並びで入っていないので、意外とパターンにはめにくいのと、一つ出したら所定の場所、一つ出したら所定の場所の繰り返しになるので、一回終わるたびにスタート地点に戻らなければならない難しさがあります。

着替えも、まず全部脱いでから着るか、上着からするか下衣からするかといった手順だけでなく、右か左か、裏か表か、ボタンやチャックはどうか、など留意点が多いので、なかなか難しいのですが、積みあがってきたときは、いろいろな場面で応用できるので、価値が高いと思います。

【まずはベーシックなところから】
全習法と分習法がありますが、私は分習法を使うことが多いです。一連の活動のなかで、どの部分はできるのか確認して、つなげていくことで児童生徒の課題を捉えやすいからです。また、児童生徒にとっても、一度にたくさんのことを言われると、困ってしまうことが多いので、一手うてば「できた!」とフィードバックがかかるので、達成感やできること・できないことが自覚しやすいメリットもあります。

たまに、最初と最後を提示してからでないととりかかりにくい子もいるので、そのときはゴールを見せて、1つやってここが完成、もひとつやってここが完成、最後に完成が揃ったから、「終わり」という流れです。

スモールステップも、私自身、アセスメント(評価)できる時間や余力がないときは、本当に部分的なところから指導します。着替えなら、「袋から出して、机の上に全部出す」だけ頑張ってもらい、後は手伝うから大丈夫です、という細切れアセスメント(評価)をします。これができるのは、教員だからです。

毎日毎日同じことをするので、数うてば大人も子どもも慣れてくるし、分かってくることが多いです。時間はかかりますが、他の子どもの活動を支援(見守り)しながらできる方法で、なんとなく支援しているけれど細かい実態は分からない状態が続くと、成績の作成や面談、他の教員などに支援を依頼するときに困るので注意です。