学校の文化 担任の先生より

922)特別支援学校 給食を食べられない、どうする?

教員が昼食(給食)を時間内に食べられない事態が起きています。

【以前の給食】
コロナウィルスが猛威をふるう前は、教員と児童生徒は同じ教室にいて、ある教員は摂食介助をして、ある教員は自分で食べている子ども、医療的ケアを受けている子どもを見守りながら食事をとっていました。子どもに数口食べさせてから、教員自身が食べる、なんてこともありました。

指導体制は人数や介助量、空間(教室)をみて配分され、効率やローテーションを組んで、児童生徒の実態に配慮し、一人ひとりの子どもの摂食指導について、複数の教職員が把握できるようにしてきました。

【コロナが流行ってきた】
ローテーションを組んでいた指導体制が一変しました。いろいろな人とかかわることは感染対策としてふさわしくないと、学級ごとに、特定の教員と食べるようになりました。教員は摂食指導を済ませてから、距離をとり、食べる向きに配慮して給食をとるようになりました。フェイスガード、手袋、ガウン、消毒などの、摂食の場面で使われる物品やルーティンが増えました。

このことから、摂食や、その後の介助負担が大きい学級には応援を呼ぶこともできずに負荷が増え、軽介助で指導体制がうるおっている学級は、それなりにゆったりと指導を続けることができました。他の学級に在籍する児童生徒の実態が把握しにくくなり、そこでどのような指導を行っているかも見えなくなりました。

【今】
フェイスガードやガウンは見られなくなりました。マスクもつけない教員や児童生徒が見られるようになっています。まだ、コロナウィルスはなくなっていませんし、これで良しという治療もないようなので、以前と同じではなく、どこかぎこちない状態が続いていると感じています。

今、課題になっていることは、個別に支援を必要としている子どもの割合が多いこと、アレルギー対応を必要とする子どもの割合が多いことにあります。個別の指導のニーズが高まると、質的な指導の保証と、量的に抱え込む安全管理のための目と手で、身動きが取れなくなります。アレルギーをもつ子供の指導につくと、自らの給食に含まれるアレルゲンでショック症状などがでてはいけないと、教員がその場で給食をとることが難しくなりました。

そのため、児童生徒が下校するまで、給食は食べず、下校後に食べるようになりました。

【ルール】
ところが、学校には下膳は何時までにしてくださいというルールがあります(すべての学校にあると断言はできません)。調理してから何時間経ったか、何時間常温で食べ物を置いていたかで、食品が腐敗して腹痛などがおきるようなことがないために時間を設定しています。

時間内に指導が食べられなかった教員の摂食は、このルールに接触することになります。更に、子供と食べることによって、食べている姿を見せて、食べるとはどういうことか見て知る、どのように食べるか知る、グループダイナミクス(みんなでやるから楽しい、など)の教育的価値もあると言われていますが、下校後に食べる給食は、ただの教員の喫食に過ぎないから、休憩時間に食べろと言われればそれまでです。

休憩時間になるまで食べないとなれば、下膳の時間のルールは守られず、教員自身の健康への配慮がなくなります。それぞれのルールや配慮に工夫できる点はないか、どこかのルールを緩和できないか、指導体制に手を入れて教員が動ける状況をつくることができるか考えます。

このような場合、「目の前の児童生徒>ルール>教員の人権や健康」のような優先順位になりがちです。身を削ることで問題を処理することに慣れてしまうと、教員集団の自尊心がどんどん低下していくのではないかと思われます。また、子供のためにガマンすることは正しい、美しい、みたいになると身を切ることが美しいと考えると、当たり前のように自己犠牲が求められるならないかと危惧しています。