学校で行われる多くの授業では、「見て、聞いて、やってみる」ことで学習が進んでいきます。
よく言われるのが、背景は黒などの単一色にすることや掲示物などを少なくして視覚刺激を減らす、見やすいようにカードなどを大きくする、言葉が多くなり過ぎない、早口になり過ぎない、などです。
みんなで守ろうこのテクニック、みたいなところがありますが、あくまで見せたい・聞かせたいことを端的に、集中して取り組めるためであって、そのための感覚刺激をどう調整するか考えて、導き出されたものです。
場面や狙いによっては、あえて上記のような配慮をしないことがあります。
間をあけすぎると、待てない、注意が続かないので、あえて言葉をポン、ポンと続けていくことはありますし、要らない言葉の中から必要な言葉を取り出すよう促すこともあります。小さな声で語りかけることで注意を教員に向けさせることもあります。
今やっていること、この授業でやることを把握して欲しいと同時に、特別な配慮が少なくても(無くても)、この子たちはどこまで必要な情報を取り出すことができるのだろう?というアセスメント的なことも行われます。
【見やすい教材】
学習指導案で、「見やすい教材」と書いてあるのをみました。この観点は視覚刺激を程よく、要点をおさえて入力して、最終的に認知面や行動面に反映できるようにする、みたいなことだと思うのですが、この「程よく、要点を…」って何なんだ?って思いませんか?
実際、いろいろやってみるのですが、私が感じる「見やすさ」と、子どもたちが感じる「見やすさ」は一致しないかもしれないと思いますし、感覚の評価はなかなか難しいと思います。だから、そこにこだわらず、やってみて子どもたちが応じれば、それなりに見て・聞いて・分かったと解釈しています。
人によって違う、人ごとに違うと言われればそれまでですが、試行錯誤して合格圏内に入るには、どんな観点をもって環境調整をしなければならないか、自分なりに整理しておくことは必要だと思いました。思いつくままに列挙してみます。
・大きさ(大きいだけでなく、授業の展開や、他の視覚教材の提示と調和し、妨げにならないこと。)
・構造のシンプルさ(線がくっきり、色は多すぎず、特徴がとらえやすい)
・色(原色が基本、他と差別化しやすいよう違いを出す、色の混じり感少なめ)
・子どもと教材との距離や角度(視野におさまりやすく、全体がとらえやすいこと)
・子どもが見聞したことがあるもの(分かった!が引き出しやすく、展開しやすい)
・関連性やつながりがシンプル(サブの先生が分かれば、個別のフォローがもらいやすい)
あれ?もっとあると思いましたが、こんなものでしょうか。それでも、これだけのことが留意できれば、かなり分かりやすさが出せると思います。