担任の先生より

966)特別支援学校 僕はトイレでおしっこをしないと決めた

僕はトイレでおしっこをしないと決めた。

「やったー、でたねー」

トイレで便器に座って、小便器のところに立って、排せつがうまくいったと喝采があがりました。

褒めることで、やったことに対して◎なんだと確認できる、賞賛されることでプラスの行為として評価されることを知る、ということで「褒めることはいいことだ」と学校等で信じられています。

が、彼は違いました。賞賛や感嘆の声により、驚いて委縮してしまったのです。何かよからぬことをして、近くにいた大人が「コラ!」と大声をあげて制止するのと同じ効果がでてしまったのです。

「褒めているの、怒っているんじゃない、誤解よ。」というのは、状況や言葉の意味を知る大人だからいえること。言葉よりも音の大きさや突発的な声に反応する子にとっては、知らぬことです。

【おしっこ】
学校では、排尿のタイミングが難しくなりました。トイレではしないと決めているのか、大人が見ていないスキにジャーっと出してしまいます。

担任の先生は困りました。定時排せつによって、便器の前でズボンをおろして立ってもらい、促すのですが、なかなか進みません。

トイレ-排尿-賞賛の声

排尿と賞賛の声(驚かされる声)は関係ないことだと別ルートをつくるか、トイレで成功する機会を待って、でたら驚かされることなくOKがもらえる経験を積みなおすか、このへんが考えどころだと思いました。

トイレに行き続けるのも一案ですが、トイレに行くたびに過去を思い出し、やっぱり僕はトイレではおしっこしないんだと確認し続けているならばマイナスの強化になるので、控えるべき行動なのかもしれません。

【ところで】
ところで、自宅では排せつをどうしているのでしょう?

担任ではないし、学年も違うので情報はないですが、もし自宅でうまく排せつできているなら、保護者に学校のトイレに立ち会ってもらって、「学校のトイレは家と同じで安心」とインプットしてもらったらいいかもしれません。

学校では、毎日のことなので場数をふめるメリットがありますが、指導内容の共有がしにくいので、日々安定してできるやり方を設定したいと思われています。やり方について、妥当なのかどうか見えない時は他の先生にお任せしにくいので、「こうだよね」という解が見つかるまで試行錯誤しなければなりません。

分からないし、とにかくおもらしが困るのでおむつを…というのも1つの方法です。こんなときは、日々を過ごしながら、知恵を出し合って解を見つけにいくのです。