特別支援学校で、よく取り上げられる「感覚」について、思いつくまま書いてみます。
まず、結論から出すと、「感覚は日々の生活の中で入力され、保たれるもので、特別に取り上げることで補完できるものではない」ということです。そこをおさえつつ、事例を挙げていきたいと思います。
【授業】
まず、授業でよく取り上げられるのが、視覚と聴覚です。
授業は集団で行われることが多いので、「どのように子どもたちに伝わっているか」考えることは、とても重要だといえます。
見る:見やすさ(大きさ、色、刺激の量や数、明るさ、など)と、見にくさ
聞く:聞きやすさ(声の大きさ、言葉数、言いまわし、など)と聞き取りにくさ
これらについて、優位なのはどちらか、注意が向けられているか、理解につながっているかどうか、などについて検討されます。
集団の授業のなかで、感覚入力をメインに構成される授業は少なく、それよりも「ある文化」を伝承するために感覚がうまく使われ、阻害因子になっていないか先生方は考えています。
では、視覚・聴覚刺激について検討したけれど、その先にある課題と指導目標は適切か、そこの検討も必要で、日本からハワイに行くのに飛行機でなく、徒歩や手漕ぎ船で行くようなことになっていないかも考えます。
【身体の取り組み】
感覚過敏へのアプローチや、固有感覚にかかわる取組みが結構多いなと感じています。
身体活動をクローズアップして取り組む機会は、それほど多くないのですが、固有感覚って「入力された⇒これで分かったね、感じたからOK」だね、というものではないと意識しています。
この感覚は動かし、圧がかかり、触れて、触れられて確認でき、保たれる感覚です。
なので、特別な取り組みではなく、日々の中で安定して刺激が供給されているかマネージメントする必要があると感じています。
例を挙げてみます。あるお兄さんがバイクで走っていて、交通事故にあってコケました。
骨折して、病院のベッドで1週間寝たきりに近い生活をしていました。頭と手は使っていましたが、足は安静に、です。
ベッドから出ていいことになり、平行棒に手をかけて立とうとしてみたら…。骨折した足への力の入れ方、動かし方が分からないことになっていました。
少しの活動で、身体のイメージと動かし方を短時間で思いだせたのですが、それくらい継続した刺激がないと維持できないということです。
これは、感覚というご飯を毎日食べている、という意識が必要だと思います。
【おわりに】
感覚について、視覚、聴覚、触覚、圧覚、温冷覚、痛覚、固有覚など、いろいろな観点があるのですが、目の前にいる児童生徒について、日々入れた方がいいもの、手段として用いるもの、目的として用いるもの、とおおまかでいいので、整理してみるといいかもしれません。
https://magomago1.org/318goodleaderandbadleaderintheschool202012/
前回は、「318)特別支援学校で、仕事できる先生ってどんな人か説明します。」でした。
https://magomago1.org/320aboutmusttrainingintheschool202012/
次回は「320)悉皆研修(しっかいけんしゅう)とは」になります。