こんにちは、雑賀孫市です。
今日は、特別支援学校の教員が児童生徒を引率するとき、 何を優先にし順位をつけて手をつないだり、見守ったりしているか書いてみます。
【集団をまとめなければならない理由】
知的障害特別支援学校の教員は担任になると、大抵3人から6人の児童生徒を 一つの集団として捉え、指導することになります。 1対1なら指導の質や量を変えながら、日々どう過ごしていくか戦略をたてていくのですが、 複数だとそうはいかず、こちらが立てば、あちらが立たず、まるで「もぐらたたき」の ように立ち上がる児童生徒を座るよう促すことも少なくありません。 教室内にいるときは、多少教員と児童生徒の人数比率が良くなくても、 教員が出入口の前に座ってしまえば遊出(ゆうしゅつ)は防げます。
しかし、校外に引率したり、特別教室(学級の教室でない音楽室や体育館など) に移動したりするときは、列を作るだけでも大変です。 先頭と最後を教員にすれば、列さえ作れれば前方と後方に児童生徒が飛び出すのを 制止することはできますが、列の途中で崩れ始めたら、打つ手がありません。 そこで、もう少し児童生徒の実態に応じた、緻密なフォーメーションが必要になってきます。
【集団で移動するとき】
・校外にいる人を傷つけてはならない。
・校外の物を傷つけたり、壊したりしてはいけない。
・同級生を傷つけてはいけない。
・集団から飛び出して、転倒事故や転落事故、交通事故などがあってはいけない。
・誰に、どのようについていくか、示す。
・どこからどこまで移動するか、示す。
・移動時の留意点について、学ぶ。
留意点として、重要度は上から順番になっていると思います。 もし、事故が起こったら、児童生徒の自己責任ではなく、引率した教員にかかってきます。 そうして、管理職への報告、保護者連絡、必要に応じて医療機関の受診をして、事故が起こった原因や経緯、今後どうしていくか等を書面で報告したりします。
【フォーメーションを決める】
引率する教員の資質・能力(体力含む)、人数、行先、その授業のMT(main teacher)かどうかによって 並び方などは変わってきます。
ベーシックなものは一番前と一番後ろを教員ではさむ、ですが
・他害や遊出傾向のある児童生徒については、教員が手をつないだり、真後ろについたりします。 ・友達同士で手をつなぐ
・教員や特定の友達を目印についていく
・依存的、または構って欲しい生徒は教員の真後ろにするか、特別扱いはしない意思表示で、意図的に児童生徒の並びの中に混ぜてしまったりします。
【列をつくって移動するときの留意点】
・一番前の教員はどう移動するか判断し、後方を歩く児童生徒と教員に知らせます。
・一番前と一番後ろの教員は、周囲を見ながら移動して、「後ろから、自転車1台きます。」などと口頭で示し、右(左)端に寄るよう促します。
【留意点について私見】
・知的障害特別支援学校では、手をつなぐことが大事で、手首や腕をつかむことは人権侵害にあたると考える傾向があります。が、児童生徒が自由になりたくて手をひねると、教員の手首もひねられてしまいます。教員の手首にサポーターや包帯が巻かれていることは勲章なのか、適切な指導の証なのか、考える必要があると思います。
・学年があがると自立した大人を目指すために、児童生徒同士で手はつながない指導をすることがあります。が、外への移動時は安全が優先されるため、そこにこだわることは得策でない場合があります。
http://magomago1.org/careworkersjob202003/
前回のブログでは、「72)介護職の専門性を発揮するということ」から、老年期の専門職から専門性について考えました。
http://magomago1.org/myfirstlosingjob202003/
次は、「74)バブル時代の後に就職して、退職したときのお話です(退職1回目)」です。昔話?