学校の文化

63)特別支援学校、学校の日常生活の評価は誰がするか

こんにちは、雑賀孫市です。
今日は、特別支援学校において、日々の様子からどうやって「この子はこんな子で、こんな傾向があります」と客観性をもたせながら説明できるようになるのか、考えてみます。

【初めての学校に出勤したら】
年度はじめに、どんな情報が新しい担任の先生(新規採用、異動者も含めて)、 もたらされるかというと

・全校の体制表(学年や学級ごとに、どんな教員がいて、誰を担任しているかの表)
・全校の分掌・委員会等の役割分担表 ・職員室の座席表  
などですが、とりあえず児童・生徒に関しては、全校の体制表をもとに、自分はどこの、誰の担任を するのか確認し、職員室にいる誰と同じ学年で組むのか見て、挨拶することになるでしょう。

次に、自分の学級の教室がどこか見に行くことになると思います。 ここか…と思うのもつかの間、様々な会議に出席しまくることになります。

【担任する子どもの情報を集めまわる】
子どもの実態について、カルテ(学校モード)のようなものはありません。
引継ぎ表のようなものを作成してある場合もありますが、 基本は「前の担任、または同じ学年にいた先生に聞け」と、「個別指導計画等を見ろ」 がスタンダードになっているようです。

ただ、前の担任の先生から情報をもらうと、去年の通りにするよね?的な雰囲気になり、 しばらく自分の指導ができなくなるだけでなく、謎のルーティンや主観的な評価 に閉口することもあるので、1日の流れや持ち物、禁忌事項などを確認したら、それ以上は 深追いしないことにしています。

あせらない、あせらない

個別指導計画などの書類を見ると、指導でどんなことをしてきたか、おおまかに知ることができます。 が、表現は抽象的で、文字数が少ないだけに具体性に欠けるかなと思います。教員によっては何を テーマに取り組んできたかよく分かるものもあるので、興味深く見させてもらっています。

学校生活に必要な情報は、学校にかかわる校務分掌等ごとに分散しているので、 それをかき集めることになります。例えば、通学がスクールバスならバス部にデータがあり、 アレルギーや服薬や医療的な禁忌事項の情報は保健室でファイリングされ、厳重に保管されています。 一人通学の情報は生活指導部にあり、出席数は主に教務部で管理しています。

【学習や発達に関する実態をどう把握するか】
学校でルーティンになっている簡単な発達検査や、医療機関等からまわってきたK-ABCや WISC-Ⅲなどの数値があります。学校の研究部などがデータをとるために発達検査を行ったりしますが、学校で活用されているアセスメントは、「特別な場で」、「特定の観点について調べたもの」が多く、 検査者と被験者が緊張していたり、様々な刺激や変化のある教室とはほど遠い構造化された環境であったりするが故に、日常生活で活用できるような情報が得られない、子どもの全体像を捉えられないといった問題点が指摘されています。

ちなみに、よく使われる検査は、K-ABC、WISC-Ⅲ、S-M社会生活能力検査などがあり、 実態を把握するために設定された機会は、1日体験入学、就学相談、理学療法相談、企業体験実習などがあります。 では、日常の生活に関する評価はどうするかというと、各担任に任されている部分が多いです。

まとめて、考えよう

【日常の児童生徒に関するアセスメント(評価)】
・専門家が行う日常の評価:評価への場面や時間設定が断片的で、日による違いがみられない。
・担任の先生が行う評価:学級経営をするが故に、つきつめたアセスメント(評価)ができない。生活歴や(誤)学習、家族のもっている文化的背景、個別と集団の違いなどを総合的に捉えるので言語化が難しい。
・発達検査:情報が断片的で限定的。

場面によって、表情が違うかも

個人的な意見ですが、学校生活を評価することは、発達検査を介さなくてもできると思います。様々な場面で見られる児童生徒の行動の変化や態度などを見て、それらは「なぜ」かつきつめて考え、妥当な結論を導き出していければ、多少の漏れや「?」があっても、おのずと客観性のある全体像が描けてくると思っています。
なので、リハビリテーション技士が用いる評価の考え方は、まるっと児童生徒の実態把握に使える代物です。

http://magomago1.org/teacherpracticeintheschool202003/
前回のブログは、「62)通信教員免許課程の方必見!教育実習はいつ申し込むか」でした。

http://magomago1.org/trainingaboutcare202003/
次は、「64)介護福祉士実務者研修(医療的ケア)」です。