担任の先生より OT・PT・ST

77)担任の先生(元作業療法士)がつくる、特別支援学校の授業~物をもつ支援の方法~

こんにちは、雑賀孫市です。
今日も、実際に特別支援学校の授業でやっていたことを書いてみます。 肢体不自由の学校では、物に触れたり、持ったり、持ったものを渡したりすることも学習の中に含まれます。が、実際にやろうとすると、手を握りこんでしまったり、逆に指を曲げて物を把持(はじ)すること が難しかったりすることがあります。

【物を持ち、移動させる学習を所望するとき】
「なんとか物を持つ経験をさせてあげたい!」そんなときに使える考え方です。 特に手のひらに物は収まるけれど、力が出しにくくて惜しいという児童生徒に、今日から試せる内容です。

写真1 物をつかむ・つまむ

写真では、卵をもっている手(私ではありません)が映っていますが、 中枢から見てみると、「手首は反って、指を曲げて、手のひら(又は指ではさめる範囲)の中に 卵をおさめている」ことが分かります。

【腱固定作用を使って、物を持つ】
物を持つために、運動学に出てくる、「腱固定作用(けんこていさよう)」の知識を使ってみます。 カタカナ言葉で言うと、「テノデーシス」といいます。 考え方は、下の図2の通りです。

腱固定作用(テノデーシス)

指を伸ばす筋肉は、手の甲のほうを通り、 指を曲げる筋肉は、手のひら側を通る
という筋肉の長さを利用するものです。 順番に見ていきましょう。
まず、写真3のように手首を曲げると、指が伸び、物を手のひらのなかにおさめやすくなります。

写真3:掌屈(しょうくつ)、持つ準備

物を手のひらにおさめたら、次に手首を反らせて、指が曲がるように支援します。

写真4:背屈(はいくつ)で持つ

手のなかに物がおさまったら、肘と手首をサポートして、 手首を反らせた状態のまま、ゆっくりと机から持ち上げてみましょう。 空間で保持できそうですか?

空間で保持できたら、一つ扉が開きました。

「持つ」⇒「離す」の流れで、机上のA地点からB地点まで物を運んでみましょう。
この流れができたら、いろいろできるようになります。

①お片付け:机にちらばったものを、かごに入れる。
②どうぞ:隣や向かいの人に、物を渡す。
③見て:発表で見せるものを提示する。(盾のような構造だと、前方に示すことができる)
④体育:ボッチャのボールが持ちやすくなる、かも。

【留意点】
・三角などより多面体や、球状のものがいい(粗大なつかみで対応できる形のほうが持ちやすい)
・重いものより、軽いほうがいい
・固いものより、柔らかいもののほうがいい。固いと、机上を転がっていってしまいます。
・手のひらの中に収まる大きさがいい。
・親指は曲げる動きしか対応できない。(人差し指に添わせる横つまみは腱固定作用とは別の筋肉を使うので、手首を反らせても効果がありません。)

リハビリでは、お手玉などを使っていますが、新聞紙をまるめてテープでとめる、タオルを半分にたたんで結ぶだけでも大丈夫です。

http://magomago1.org/otmakecolorstudysystem202003/
前回のブログは、「76)担任の先生(元作業療法士)がつくる、特別支援学校の授業~パネルシアターの活用~」でした。

http://magomago1.org/howtolearnmakinggroup202003/
次は、「78)担任の先生(元作業療法士)がつくる、特別支援学校の授業~なかまあつめ~」です。

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