学校の文化

180)特別支援学校 先回りして準備するのと、想定して準備するのは全然違う

特別支援学校では、教室の環境、授業内容などについて、個に応じた指導を行うために実態把握を行い、準備をしています。

年度始め、子どもが登校してくるまでは、「何が妥当か」「どんなものがふさわしいか」「事前の情報が合っているか」分かりません。なので、環境設定もまずは無難に揃える、というものになります。

子どもが学校で過ごす様子を見ているうち、どうすれば落ち着いて過ごせるか、何が必要な指導のテーマになるのか、少しずつ見えてきます。

それを受けて、教員はタオルを置く場所、活動の手順、などを少しずつ決めていきます。

その改善は少しずつで、分かってきたニードをもとに作り上げるものなので、一緒に指導にあたる教員や支援員さんにも受け入れられやすい修正だと思います。

【A:先回りの準備】
もし、担任の先生が「私が思う、ベストな環境と学習環境はこれだ!」と学校生活が始まるまでに決めてしまったらどうでしょう。

「まず、何をしたらいいか分からない」「指示がないと動きにくい」といったメンバーが多いチームだと、方向性や役割を明確にするので効果的といえます。

しかし、これによって「指示待ち」や、言われたことをしなければという「抑圧」がチームの中に蔓延することがあります。
また、これを中堅の経験者にやると、その先生の教育観や、物事を始めやすい手続き(人ごとに違うやり方)を尊重しないことになるので、指導への意欲や自尊心が急速に低下することがあります。

これでいこう!

【B:想定して準備する】
指導の流れはおおまかで、あとは児童生徒の動きを見て決めていきましょう、という指導もあります。
その動きは試行錯誤を伴うので、外から見ていると何を狙っているのか分かりにくく、形ができるまでに時間がかかります。
中堅の先生がいれば、「この流れだと、〇〇君が落ち着かないから、椅子を用意しておこう」、「この並び方だと、このクラスに大穴が空くので、サポートに入ろう」とリスク管理や指導の流れをふまえた動き方を個々に考えるようになるので、多少の凸凹はあるにしても、想定して準備するメンバーが増えるので指導に厚みがでます。
が、それが行き過ぎると勝手なことをする人や、責任の所在が曖昧になったりすることがあるので、誰かが細やかに確認していないと危なっかしいです。

はい、こうすれば大丈夫

【これら二つの決定的な違い】
良し悪しはチームの状況や子どもの実態などによって、一概に言えないのですが、Aは初心者メンバー向き、Bはある程度経験のあるメンバー向きのリーダーの在り方だと思います。

なので、人それぞれのやりやすさ、実力の発揮しやすさも大事です。

http://magomago1.org/foradmissiontoaspecialeducationschool202006/
前回は、「179)特別支援学校に入学するまでの流れ~就学相談~」です。

http://magomago1.org/teachersworkgrowsmore202007/
次回は、「181)学校における「やってみなくちゃ分からない」、「すぐにできないと言えない」という罠」について。