学校の文化 担任の先生より OT・PT・ST

189)作業療法士が教員になったときの病休リスクを3つ挙げます

こんにちは、雑賀孫市です。
今日は、学校教員の病休が増えていることを挙げ、更に作業療法士が教員になったときの病休リスクについて、考えられるものを三つ挙げたいと思います。

【近年の教員の病気休職者数】

教員の病気休職者数

表のように、在職者数は減少しているのと反対に、精神疾患による休職者数は増加しており、近年5000人あたりで高止まりしている状況です。

この理由について、仕事の質的な面、量的な面の両方で負担感が強いということが分かっています。

さて、全体的なことはこれくらいにして、今後専門職が教員になって働くときに想定される病休リスクは大きく分けて3つあると考えています。

【専門家が教員になったときの病休リスク】

①頼りになる専門家として仕事が集中
研修や行事の運営、授業改善に関する仕事だけでなく、指導困難なクラスを担当する機会が多くなる可能性が高いです。質的、量的に業務負担が増えるだけでなく、「専門家」だから大丈夫と協力が得られないまま仕事を抱え込むことが懸念されます。

あれもこれも質高く!

②やりたいのにできないジレンマ
ここはリハの研修会などで取り扱われる「学校文化」の部分で、組織的対応、職員室文化、同調、集団、同僚性などのキーワードでくくられると思います。個別かつ質的に高い指導(治療)を大事にする人、技士としてのスキルを子どものためにと強く願う人が陥りやすいところで、所属する職場の環境が阻害因子として感じられるかもしれません。

思うようにできない

③穴埋めのコマになる
校内人事の中で指導が難しいと考えられている「あの学級」、「あの子ども」の指導ができるかと考えた時に、指名がかかる傾向が強くなります。
一度うまく運営すると、次はあのクラス、次はあの学年と毎年校内を異動することもあります。
異動は数回だと「様々な年齢や実態の子どもをみることができて勉強になる」、「学部によって運営の仕方や考え方が違うことが分かる」とポジティブに捉えられます。

頻回になってくると「やった経験が活かされない」、「継続すればもっとできたはず」、「1年の経験をもとに授業や組織運営の改善に着手しようと思っているのに、できない」、「組織人として積み重ねが感じられず、使い捨てのようだ」などのデメリットが強く感じられるようになってきます。

自分って何だろう?

【メンタルヘルスに向けて】
今のところ、人事については学校長の判断によるところが多く、希望が通らないことはよくあります。

私も振り返ってみれば②と③で何度か苦しい局面を迎えました。

そんなとき、子どものため、自分の専門性を活かす、自分にしかできないことを、などと自分を鼓舞してきましたが、いつまでもそれで切り抜けられるとは限りません。

休む時を決めて休む、校内における自分の役割を管理職と確認する(人材育成のプランも含めて)、仕事の状況を報告する、希望や意思を明確にする、仕事を抱え込まない、うまく仕事を周囲に振る、などをしていかないとバーンアウトする可能性が高くなると思われます。

職員室での同僚性は組織の輪の中にいてこそで、少しでも外れてしまうと意外とクールです。
責任逃れの常態化は困りますが、心が疲れてきたとき無理をすると取返しがつかなくなる場合があるので、時々自分を評価し、時には客観的評価を求めることで健康を維持して頂けたらと思っています。

http://magomago1.org/howtomakeinformationreport202007/
前回は、「188)特別支援学校の学年だよりの書き方(例)」でした。

http://magomago1.org/readyforschooljourney202007/
次回は、「190)特別支援学校の宿泊行事の準備(全体の流れ)」について御紹介します。