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54)「アセスメント、評価」という言葉は職種によって使われ方が違う ~特別支援学校より~

こんにちは、雑賀孫市です。
今日は、「アセスメント」と「評価(ひょうか)」 という言葉の使われ方や意味が、職種によって違うことが分かったので、 それについて書いてみます。

【アセスメントとは】
・査定
・事前影響評価

【評価とは】
・品物の価値を決めること。またはその価格
・事物や人物の価値を判断して決めること。
・事物や人物について、その意義・価値を認めること。

【リハビリのアセスメントと評価】
・リハビリのアセスメント
主観的な情報と、客観的な情報を集めて、患者さんの状態や状況を判断すること。
情報収集から仮説を立てるところまでやって、細かい所は実際にかかわりながら評価して形にする。

・リハビリの評価
治療しながら評価する」というように、情報収集から初期評価作成、治療なんかをすべてひっくるめて「評価」と捉える。まさに、ぐるぐる回っています。

医療職、ですからー

【介護のアセスメントと評価】
・介護のアセスメント
ケアマネジメントの始めに行う「評価」「査定」のこと。
今後のケアに必要な見通しをたてるために行われる。
介護サービスを受ける人のニーズや、残存能力の程度、生活環境などの情報の統合と解釈を行い、どのような介護サービスを必要としているか判断する。

・介護の評価
介護サービスを受けている方について、介護計画の達成度、利用者の変化、不可能の理由、計画の修正の必要性を確認する。

アセスメントと評価のサイクル

【特別支援学校のアセスメントと評価】
・特別支援学校のアセスメント
児童・生徒の状態を理解し、必要な支援を考えたり、将来像を予測したり、支援の成果を確かめたりすること。
が、実際にはアセスメントは特定の検査バッテリーをもとに検査することがアセスメントだと捉えられているように思います。

・特別支援学校の評価
いわゆる、「成績」が評価です。そのため、学期末、年度末に出されるもので、ある一定期間指導を行って、どんなことができたか記録して、保護者に成果として提示したりします。

評価やねらいは様々です。

【まとめ】
図を作って、ざっくりとまとめてみました。

職種ごとのアセスメントと評価について

リハビリの特別支援教育関連の研修会で、専門用語の解釈の違いの例として「評価」という言葉が例としてとりあげられることがあります。

今、介護福祉士実務者研修を受けていて、同様に「アセスメント」と「評価」という言葉がでてきたので、これは比較したいと思いました。

2つの比較だと、どっちがどうとは言えないところがありますが、3つになると、意見としてもバランスがとれるかなという期待もありました。

比較してみて気づいたことは、「アセスメント」と「評価」は、単に職種ごとに言葉の使い方が違います、という話ではなく、職種ごとの仕事の仕方や専門性の違いが「言葉の使い方の違い」にあらわれているんじゃないか、と思いました。

まず、リハビリは医師からの指示がでているので、どんな情報が適切に治療を行うために必要か、というリスクマネージメントや妥当性をアセスメントに求めているのかなと思います。
評価は、やるべきことと、やってはいけないことがアセスメントの段階で確認できているので、持っている知識と技術をどうやって効果的に発揮するか考えるサイクル(評価)に入ることができるんだと思います。
つまり、リハビリではアセスメントは頭出し、あとはすべて評価が占める、というところでしょうか。

次に、介護職はアセスメントで介護を行う前に必要な情報を確認し、介護を実施した後にどうだったか振り返るために「評価」があるんだと思います。
介護職は複数の人がケアマネージャーさんの出した計画に則ってケアを実施するので、特殊なことはしないし、その場の判断でケアの内容を変更したりしません。そのため、リハビリのような小さなサイクルをグルグルまわすのではなく、少し進んだら確認する、着実・堅実な仕事が求められるのだと思います。
アセスメントと評価も事前と事後に配置され、情報収集と情報共有がしやすい形だではないかと思われます。

最後に、特別支援学校におけるアセスメントと評価ですが、やはり学校は特殊なのかと考えさせられました。
というのも、アセスメントは付け足し的で、これまで場面ごとに何をしていたか、という方法論的な引継ぎがほとんどです。
そのため、しばらくは引き継がれた指導の根拠を確認しつつ、集団の指導を行っていくことになります。その作業はかなりエネルギーを費やすもので、自分なりに納得できるものや効果のありそうなことに更新するまでに早くて3か月はかかります。
評価(成績)は学期末に作られる教科ごとの実施報告書みたいなもので、子どもの全体を説明するものになっていないのが実情だと思います。
 
・アセスメントと評価のサイクルの早さランキング
  1位リハビリ、2位介護、3位特別支援学校
・アセスメント丁寧さランキング
  1位介護、2位リハビリ、3位特別支援学校
・評価重視の比較
  1位リハビリ、2位介護、3位特別支援学校

主観たっぷりですが、このようにまとめてみました。
やっぱり、学校はいろいろすることがあるから介護やリハビリのように繰り返しの経験則が蓄積されにくく、評価のサイクルが形成されにくいのかなー?と思いました。

https://magomago1.org/howtogetstrategyinspecialeduschool202003/
前回のブログは、「53)特別支援学校での戦術と戦略(実態把握と指導をリンクさせる)」でした。

https://magomago1.org/menstoiletquestion202003/
次のブログは、「55)特別支援学校でのADL(排せつ)の指導 「立ってするのは男のプライド」か」になります。