学校の文化 OT・PT・ST

218)専門家としての自分のよさを、他の専門家に分かってもらうのは難しいことです。

こんばんは、雑賀孫市です。
先日、もう何度も聞いたことのある言葉なのですが、ラジオで「自分を変えることはできても、他人を変えることは難しい。」というのを耳にしました。

学校に入って、専門家として与えられた役割を果たそうとしても、なんだか「できた!」っていう感覚が持ちにくいケースが多いと思われます。その理由は、「他人(教員)を変えることを目的にしているからではないか。」

そんな気がしました。

【うまくいったと感じるとき】
「リハの助言に対して、先生がやってみますね!と⇒やってみて、こんな風に子どもが変わってきた!」
これが一番気持ちいいパターンではなかったでしょうか。

助言・指導する教員だけでなく、指導を改善した結果、子どもまで変わるなんて!
こんなに他者を変えないと、リハビリテーション技士は満足(実感)できないのだろうか…と。

中長期的な取り組みの結果とまではいかなくても、介入した授業で混乱なく「できる」。「楽しめる」ものをさりげなく探し出して教員に渡すことができた。

これもお互いに「良かったね」と満足できるパターンです。
そんなに達成度を上げなくても、意味のある連携はできるんじゃないだろうか。

【うまくいかなかったと感じるとき】
介入できる時間がなかったり、どんな子どもなのか把握できるような場で(が)なかったりすることもあります。

そこで見ていてと言われ、教員と児童生徒がバタバタしているのを観察して終わってしまう。
助言・指導される内容が、ピックアップした子どもに特化しすぎて、実現不可能なものだった。
助言・指導される内容が、技術的に高度すぎて難しい。
とにかく指導一つひとつについて指摘と指導が入る。
とにかく、専門家と教員がお互いに「やらなきゃ」に追われているとき、とても苦しそうに見えました。

【教員と専門家のニードが合うとき】
子どもには教育的ニードがあり、教員にも授業によって子どもを支援するニードがあります。
が、専門家にもニードがあると思っています。

なので、担任として専門家が「指導・助言」ができるまでの情報が準備されているか、何を、どこまで観るか、何だか分からなければ何が分からないか、など仕事をするためのカードを準備して迎えるようにしています。

仕事できているのに、力を出し切れないなんて、さみしいじゃないですか。

【変化や刺激を他人にあたえるということ(たとえばなし)】
お昼のめしやさんに来ています。

お客さんが、カレーライスを目の前にして座っています。
左手でスプーンを持ち、ごはんだけすくって食べました。

テーブルの上にあったソースをドボドボとかけました。
その後、ルーとご飯をからめながら、食べ始めました。
途中、水は飲みませんし、瓶に入った福神漬けにも手をつけません。

食べ終わりました。

手を加えなくてもいいカレー

「そこで一言入れてみるとしたら、何を言いますか?】
①知人が向かいに座り、「ここのカレーは美味いよなぁ。」と言う。⇒言葉かけだけで幸せになれる。
②「右手用だけど、アニメの「アキラ」にでてくる手のおもちゃだよ。装着して食べてみる?」。
③Aソースだけど、〇〇入りで美味しいよ。試してみる?⇒わずかな変化を促す。
④実は、そのカレーに200g追加するだけで半額になるんだよ、と情報を提供する。
⑤実は、そのカレー、2年前に芸能人の〇〇さんが来て、食べてったやつらしい、と言う。
⑥カレーは定価だけど、今日はC定食が半額らしいよ、と言う。

気づかれたと思いますが、まず言えることは、塩分の取りすぎと言いたいところですが、他人が介入しなくてもお客さんはカレーを食べ終わることができること。⇒内容はともかく、リハが介入しなければ授業が成立しない訳ではないんです

ともかく、助言がなくても変化することなくカレーを食べてしまうこともあるが、メニューを定食Cに変えて、焼き鳥まで追加してしまう可能性もあります。

結果はともかく、言ってみれば、持ち寄ってみればと思います。
結局、お客さん(教員)とからみにきた仕事仲間(専門家)は思っているよりも対等で、やるもやらないも、お客さん次第なんだから、もっとおおらかに専門性が発揮できたらいいなと思っています。

https://magomago1.org/217letstryehatyopucandoeverything202009/
前回は、「217)がむしゃらに杭を打ち、あとは要点をおさえて、ゆっくりできる人生を目指す。」でした。

https://magomago1.org/219iwilltellphilippinespersonsaboutjapaneseot202009/
次回は、「219)作業療法を知らない方に、作業療法を紹介するチャンスを得ました。」です。日本じゃないんですよ、実は。