学校の文化

300)「言葉がでない子」の指導をどうするか(インリアルを中心に)

特別支援学校に在籍するこどもには、運動面だけでなく言語発達面についても大きな幅があります。

理解はしているけれど、運動面の障害で思っていることが伝えられない。
なんとなく言っていることは分かり、表情で感情を示すことはできる。
よく喋るけれども、言葉(音)のコピーで意思疎通は難しい。

などなど、いろいろなケースがあります。

言語については運動性失語(分かっているけど話せない)感覚性失語(話すけれども、考えていることとつながっていない)などの高次脳機能障害の観点もあり、それらも含めて考える必要があります。

【インリアル】
学校教育分野で比較的有名な「インリアル」では、コミュニケーションの障害を「関係の障害」ととらえており、こどもだけではなく、大人の関わり方なども含めて情報を整理し、よりよい関係がつくられるよう支援する考え方らしいです。

ここでは、コミュニケーションの原則として
①こどもの発達レベルに合わせる
②会話や遊びの主導権を子どもに持たせる
③相手が始められるように、待ち時間をとる
④子どものリズムに合わせる
⑤ターン・テイキング(やりとり)を行う
⑥遊びや会話を共有し、コミュニケーションを楽しむ

それ、やらせだろ、やめろー

があり、それらを実現するために大人がとるべき基本姿勢として
①子どもを静かに見まもり
②子どもの興味や遊びを観察し
③子どもの気持ちや発達のレベル、問題を理解する
④子どもが言おうとしていることに、心から耳を傾ける

ということが必要らしいです。

それができたら、7つの技法を用いて支援するそうです。
①ミラーリング:こどものやっていること(動作)をそのまま真似る
②モニタリング:子どもの出している音声やことばをそのまま真似る
③パラレルトーク:子どもの行動や気持ちを言語化する
④セルフトーク:大人自身の行動や気持ちを言語化する
⑤リフレクティング:こどもの言い誤りを直す
⑥エクスパンジョン:こどもの言ったことばを意味的にあるいは文法的に広げて返す
⑦モデリング:こどもの話題に沿いながら、こどものとるべき行動や新しいことばのモデルを示す

【子どもの気持ちを代弁する】
私は、今も多少そうですが、大人がこどもの意思を代弁するように「〇〇くん、〇〇だよね」と教員が言うのは、偽善であったり、大人の意思表現にこどもを利用していると感じたりすることがあり、技法として使うことはあっても、どちらかというと「嫌い」でした。

コミュニケーションの原則の、①こどもの発達レベルに合わせているはずなのに、教員が過度に高度な内容を代弁し、技法③のパラレルトークのように、子どもの行動や気持ちを代弁するフリをしながら自分の都合や他の教員への批判をしている、といった運用です。

こう思ってるんだよね~

【おわりに】
コミュニケーションに関する考え方や技法などはインリアル以外に、ポーテージなど色々あります。

私は何かの流派に染まったり、属したりといったことはせず、状況に応じて使える引き出しを増やすだけと決めています。
そのほうが、幅広い器ができますし、状況に柔軟な判断と対応ができると思います。
また、中立なほうが妥当でこじつけのないアセスメントと指導が容易になります。


https://magomago1.org/299fordietwehavetomindalldays202012/
前回は、「299)ダイエットしている生徒に、給食前に焼き肉を食べさせるか」でした。何を大事に考えるかによって、行動が変わります。

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次回は、「301)カンタンな自分年金の作り方」です。