学校の文化 担任の先生より OT・PT・ST

338)特別支援学校 着ているシャツの裏表が反対

学校では個に応じた指導と、個別の教育的ニーズ、個別対応の区別が難しく、
保護者の希望、教員の希望、子どもの希望が混在しています。

「自立」について、自分でできるようにと取り組むことの是非はともかく、一貫性がありました。
しかし、個々の価値観や多様性を尊重することが主流になると、児童生徒ごとに、場面ごとに、ここは手を出していいものか、子どもに任せるべきか、判断しにくくなったと感じます。

今回は、「着ているシャツの裏表が反対」からニードは多様である、ということについて書いてみたいと思います。学校で着替えと手伝っているうちに、シャツ(肌着)の裏表が逆になっている子どもが何人かいることに気がつきました。おそらくこれはシャツの縫い目が肌にあたると、跡が付くので、それを回避しようとしているのかなと思いました。

「シャツは裏表、前後を間違わずに確認して着る」というのは一般的な価値観です。
しかし、それとは違う価値づけをしている保護者がいる場合は区別する必要がでてきます。

・シャツを裏にして着せたい⇒裏表、前後を間違わないよう支援⇒ダメ
・裏表・前後を正しく⇒縫い目が肌につかないよう配慮して支援⇒ダメ

このほかにも
・おむつのなかに入れたパットの端をはみでないようおさめることを希望する場合と、パットの端を出してくださいと希望する場合
・給食袋にいれるものが個々に異なる
・歩行介助は要る、要らない
・自助具を作成して使うか、一般的なものを使って頑張ってもらうか
などがあります。

これらは教員がルーティン化して配慮することが当然とされていますが、ルーティンを守ることが第一目的になり、その子どもにかけるべき支援が後回しになることがあります。また、ルーティンが複雑過ぎて特定の教員しか分からないと知れると、エラーがでて迷惑をかけてはいけないと、その他の教員はかかわることを遠慮するようになる、などが考えられます。

私の考えなのですが、誰でもかかわってもらえるようにすること、好意をもって見てくれること、何が大事か明確なこと、してはいけないことは何か明確なことが大事で、あとは様々な人とのふれあいが児童生徒の成長の糧になると見守ることだと思います。また、周囲をまきこむには距離をつめすぎてはいけないし、共依存にならないよう「つくべきところはつくが、あとは一歩離れてみる」が大事だと思っています。


https://magomago1.org/337movetothenewschoolhouse202101/
前回は「337)特別支援学校の校舎移転(建て替え)」でした。