学校の文化

339)特別支援学校 止められない、向上していると言わなければならない呪縛

ヤフーニュースで、愛知県であった「練習中に生徒がトーチでやけど」という記事をみました。
火のついたものを手にもって、グルグル回すというもので、光るものがまわっているときれいですし、普通の棒などをまわすより緊張感があり、技術が高まらないとできないものです。

【学校における事故】
ところが、事故は起こりました。
「灯油を搾りきらずに安全対策を怠ったとして業務上過失傷害の疑い」
指導していた教員は書類送検されました。

これは、教員一個人の責任といえるでしょうか。

灯油はどこで購入したのでしょう?予算化されたものなら組織的に取り組んでいたものでしょう。
授業の中でやっていたのですから、年間指導計画にものっていたはずです。
灯油を絞りきれば事故はなかったかといえば、そうではないと思います。

【止められない】
組織的に取り組むことが決まると、現場にいる教員がそれをとめることは難しいです。

決まったことがやれないのか
みんながやっているんだぞ
指導力に問題があるのか
予算化されているから、やらないと
あなただけやらないという訳にはいかないでしょう
じゃあ、代わりに何をするというんだね
教員として協調性がないのか
毎年保護者やこどもが「よかった」といっていることですよ
事故が起こるとか言っていたら、何もできなくなるよ
毎年同じ内容じゃなく、もっと工夫しないとね

あがった舞台から降りることからできず、より高度なことをしなければという圧力がかかります。

そこには活動そのものの是非や妥当性を検討する余地や観点はありません。

【特別支援にもいえること】
特別支援学校でトーチなどは扱わないと思いますが、同様の圧力はかかっています。
医療的ケアを含む、医療的リハビリテーションの知識や技術が急速に学校に入ってきたこと、
合理的配慮のもと学校として受けられる内容でないものが日常的に入ってきていること、
医療技術職が何年もかかって学習して、現場で鍛えられた知識や技能が、少しの研修を受けただけの教員によって再現できると考えられていること。

保護者が希望されているから」と安請け合いをした教員の指導を、根拠も含めて説明し、止めようとしたことがあります。その結果、人でなしのように言われ、いろいろな場面で嫌がらせをされたりしました。現場の安全を重視しましたが、個人として随分傷ついたものです。おそらく、みんなこれが怖くて止められないのでしょう。

教育委員会や管理職は事故があったら「安全義務を怠った教員の責任」、「これ以降は行わないようにした」で終わりです。現場の教員はもう少し冷静に物事を見て判断する必要があります。リスクを想定し、とりかえしのつかない事故が想定される場合はやらない、それくらいの覚悟がないと学校現場と子どもを守ることはできないと思います。


https://magomago1.org/338manypersonalneedsmakeothersconfusion202102/
前回は「338)特別支援学校 着ているシャツの裏表が反対」でした。