学校の文化 担任の先生より

393)特別支援学校 誰が見せ、誰が見るのか、立ち位置を考えるのは教員です。

学校では、「縦割り」といって、同じ学年同士の横並びでなく、上級生、下級生ともにという枠組みで交流などが行われることがあります。よくあるのが、新入生歓迎会、学部集会などです。

このような時間は、まる一日かけて行うものではなく、経験したなかでは午後の授業時間をこれにあてはめ、終わり次第下校の準備というパターンが多かったです。

【新入生歓迎会】
在校生があらかじめ会場で横並びになって待機し、新入生が入場して、出し物やゲーム、ダンスなどを行うといった展開が多いです。

今回あったことは、二学年合同の発表で、始めに楽器演奏(音)がきて、次の学年が影絵のような視覚教材をする、という出し物があったときのことです。

楽器演奏をしている集団が主となる役割を終え、次に影絵を出す集団の出番です。
が、楽器演奏の集団が影絵の集団をとりまき、その発表を間近で見始めました。

全体的に見ると、出し物は予定通り行われ、音楽や雰囲気を楽しむことができた、といえます。しかし、聴衆であった学年からすると、前半は演奏(聴く)ことができましたが、後半の影絵(見る)ことはできませんでした。

この状況はなぜ起こったのでしょう。

まず、考えられることは、いかに見せるか二つの学年間で打ち合わせができていなかったことです。それぞれの持ち味は何か、それを届けるにはどのように動くことが効率的で効果的か話し合われていればこうはならず、楽器演奏の集団が演奏を一通り終えたら、影絵を出す集団の両サイドに横並びになる、または影絵が終わるまで視覚刺激にならないよう一時退場したはずです。

次に考えられることは、楽器演奏の集団が「見せる役目」を果たした後、発表が終わっていないのに「観客」にシフトしてしまったことです。このあたりは付いている大人の責任だと思うのですが、周りを見ないで「頑張ったね、次の学年の発表をみんなで観よう」と目の前の児童目線に合わせると、こうなります。

大事なことは、「どのように始め、どのように展開し、どのように終わるか、行動の基準をもつこと」、「今、自分と直接支援している児童生徒、グループ、学年全体がどう動いているか、離れて見ること」です。それがないと、支援者と児童生徒が個々の価値判断で動き始めることになるので、小さなエラーが起こったり、次の活動に向けて着地するタイミングがとれなくなったりします。



前回は「392)特別支援学校 成果の出る授業」でした。