学校の文化 担任の先生より

407)特別支援学校 感染疑いのときどうしたか

先日、体調不良らしい子どもが登校してきたので、それに対してどう考え、どうしたか書いてみます。

コロナウィルスへの対策はしなければならないところですが、学校は平常通り動いており、マスクをする、手洗いをする、消毒をする以外は実際のところ打つ手なしです。

子どもには外にでている保護者がいて、教員にも家族がいて、通勤のためにたくさんの人が行き交う駅や電車やバスをくぐり抜けてきています。それが何百人も学校という場所に集まる訳です。普通に考えればリスクが高いということで、開けていていいのか議論されると思うのですが、それはないようです。

感染防止するのは教員の責任という雰囲気があり、「これは誰にも守ってもらえない」と感じるので、後で責任を追及されないように考え、行動することになります。この点は医療機関と明らかに考え方と対応が違うと感じています。

【感染疑い】
さて、前置きは長くなってしまいましたが、おかしいと感じたのが、歩くときの足の運び方がいつもよりまとまりがないこと、姿勢が安定しないことから始まります。季節の変わり目だからか、代謝が活発で身体に負担がかかっているのか、睡眠不足か、などが疑われました。

バイタルも確認しようと考え、玄関先で待機して養護教諭に連絡して検温することにしました。(保健室に入ると、登校時の健康観察をしている児童生徒と濃厚接触になる可能性があるからです。)

結果は微熱ありで、感染疑いもあるとスイッチを入れました。タイミングとしては早期に、となるのですが学習する権利を侵害した、差別的対応だ、指導体制への影響がでる、保護者への心象を害する、などを嫌う状況があるので、対応する根拠というより、疑う根拠がまず必要と考えました。

ここで考えた対応は二つ、保護者連絡は時間をおいて検温し、場合によっては通院と検査をすすめること、感染リスクがあるうちは他の児童生徒と別室で過ごさせること、です。この段階で、管理職と学部主任には感染疑いがあるので、この二点をふまえて対応していく旨を伝えました。本当に何かあった場合、「聞いていなかった」とは言わせない、「これまでの対応は適切であった」と認めさせるためです。前向きに捉えれば、担任個人で采配を振ったのではなく、組織的な対応をしたということです。

その後、熱は若干下がり、平熱レベルになりましたが「感染疑い」を解除する根拠にならないと考えました。保護者に連絡し、お迎えや通院ができそうか探ること、学校にとどまるなら静かに過ごして下校させること、この二点を確認することにしました。

このように、学校では「感染をとめる」ことを第一に考えるだけでなく、様々な価値観や想定される事柄に配慮しながら動いているのです。それだけ学校は依存されており、多様な価値観の集合体になっており、結果責任が問われる場所なのだと思います。

何があろうと、これがポリシーをもってやったことだから。
想定されるリスクのもとでやっているんだから、何があっても子どもと教職員を守る。

これが昨今、どれだけ希薄になってきているか…。虚しさを思い出させるエピソードでした。



前回は「406)特別支援学校 どこに場所をとるか、言えますか?」でした。