学校の文化 担任の先生より

139)学校にある部活動とは何か

こんにちは、雑賀孫市です。

Twitterを見ていて、部活についていろいろな意見が書き込まれています。

【運動部の部活に関する意見】
批判的な意見として
部活の顧問として負担が重い
校長からの「お願い」として顧問をさせられる
土日も部活で休みがない
コロナウィルスのために外に出られないけれど、夫が部活に行かず家にいてくれる
経験のない運動部の顧問になって辛い
部活はしたくないのに、強制参加させられる

部活を肯定する意見として
目標に向かって頑張っている
部員同士で頑張ってきた
勉強が苦手でも、部活に居場所が見つけられるから、学校が楽しい
部活の成績が進路に影響する
指導してくれた先生に感謝
後の競技人生に大きく影響するものだ

【スポーツ庁とは】
部活動のあり方として、スポーツ庁なるところが運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議で平成29年5月に「運動部活動の現状について」を出しています。

スポーツ庁とは、「スポーツを通じて国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営むことができる社会の実現を目指す」、「2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会等の日本開催のため、開催国として、政府一丸となった準備が必要」とのことでつくられた背景があります。

スポーツ庁の設置の意義は、文部科学省、経済産業省、厚生労働省、外務省等の省庁間の重複を調整して効率化を図るとともに、新たな相乗効果を生み出すもの」とされています。

スポーツ庁組織図

【運動部活動の現状について、より】
中学校学習指導要領(平成29年3月改訂)
部活動は「生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポーツや文化、科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等、学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり、学校教育の一環として教育課程との関連が図られるよう留意すること。(中略)「持続可能な運営体制が整えられるようにするものとする。」

また、「運動部活動の現状について」では調査した報告も掲載されていました。
中学校部活動の活動状況
1週間の活動時間:平日で2時間程度、休日で3時間程
1か月間に土日に休養日を設けていない学校の割合:42.6%

運動部活動における外部人材の活用
平成27年度に運動部活動の外部人材を活用した中学校の割合は約74%
運動部の数に占める外部指導員の割合は、中学校で約25%、高等学校で約11%

運動部活動を担当する教員の競技経験
担当教科が保健体育ではなく、担当部活動の競技経験がない教員の割合は、中学校で45.9%、高等学校で40.9%

中学校では教員全員が部活動の顧問に当たることを原則としている学校の割合が87.5%

【公益財団法人】
では、運動部の部活の大会を取り仕切る中体連や高体連って、なんでしょうか。
公益財団法人日本中学校体育連盟役員:検索すると中学校の校長先生だった人が多い。
公益財団法人全国高等学校体育連盟役員:会長、副会長、理事、幹事のほとんどが高等学校の学校長になっている。

ちなみに、公益財団法人とは、公益法人認定法にもとづき行政庁から認められた財団法人を公益財団法人といいます。行政庁より認定を受けているため「公益財団法人」という名称を独占的に使用することが可能となります。つまり、公務に近いと認定された民間の財団で、民間の組織です。

【部活動手当て】
文部科学省は平成31年1月より、教員の部活動手当ての支給要件を、「2時間以上4時間未満1800円」の区分をつけ、「土日4時間程度3000円⇒3600円」との2つになり、別枠で中学校に配置される部活動指導員配置促進事業(※)に15億円(新規)が計上されている。

※全国の公立中学校は約9300校なので、1校あたり16万円、時給1000円として160時間です。それを運動部の数で割ると、年間を通して部活動指導員で賄うことは不可能でしょう。

【調べてみて】
・部活動は教育課程に含まれない。関連性はあるとされるが、部活動でしか育てられないものはあるか。
・部活動が学校体育室単独で管理されており、社会体育としてどう関連づけるのか見えにくい。
・公益社団法人は民間の団体で、そこで行われる生徒の自発的な活動に教員がどこまでかかわっていいか。
・部活動に関する外部人材は多くの学校で活用されているが、全体に行きわたっていない。
・部活動は教員が授業以外に責任をもつ時間となっており、教材研究の時間や休日等を圧迫している。
・半数の顧問が競技未経験者で、安全管理や指導を難しくしている。

私も部活をやっていましたが、顧問の先生がボランティアだとは知りませんでした。
「顧問になったからには責任もってやって欲しい。自分たちも頑張っているんだから。」と至極当然のように思っていたところがあります。

しかし、教員という立場にたってみて、その仕事の多様さと責任の重さを知り、これで部活の指導をしていたら、家に帰れなくなる…と思いました。
スポーツに親しみ、目標をもち、仲間と切磋琢磨することは良いと思います。しかし、運営や指導する多くの先生が疲弊している状況をみて、「子供のために頑張って」、「仕事だからね」とはとても思えないのです。

コロナウィルスの影響でインターハイなどが中止になりました。
それまで、大会を目標に頑張ってきた人、協力してきた人に対して、残念だったと思います。
私も全国大会を目指してやっていたので、それはよく分かります。
が、これまで同調圧力で言いたいことが言えず、職場での立場を守るためにガマンしてきた先生が声をあげるようになってきました。これについて、どうしましょうか?

・意に沿わない人は批判や排除でいいですか?
・教員は子供のために働くのが当然だと職業意識を批判しますか?
・じゃ、顧問やめたら?でいいでしょうか。
(学校に在籍する児童生徒、学校の施設管理にかかわることなので責任の所在を明らかにせざるを得ません。)

誰かが一方的に負担感を強いられるのではなく、対話のなかで納得できる形が作れないかなと思っています。

http://magomago1.org/whataboutdoyoulearnfornowandfuture202005/
前回、「138)作業療法士から特別支援学校の教員になり、何を意識的に積み上げてきたか」

http://magomago1.org/howtogointoaspexialeducationschool202005/
次は、「140)特別支援学校にリハ専門職(学生含む)が入るときの、手続きについて」書きました。
他にも方法があるかもしれません。