学校の文化 担任の先生より OT・PT・ST

246)特別支援学校での指導「発達の順番にこだわらない」

以前書いたブログの記事で、ざっくりですが産まれて、寝返り、よつばい、立ち上がり、そうして歩くまでのプロセスを大部分とばして歩くようになった生徒のことを書きました。

【発達課題をスルーする】
その時書いた生徒は、今は中学生です。
十分自分で動くことができるので、床の上で手を伸ばして遊んでみようといった乳児期の活動は、もうナンセンスとしかいいようがありません。だって、その姿勢をとらないし、その姿勢でやらないんですもん。

【課題をスルーして見えてきた弊害】
立って活動し、促しに応じて座れます。
両足を広げて、両手をついて立ち上がったり、座ったりもできます。
おそらく、対称的で、重心が常に中心に近いところにあるのが重要なのでしょう。

直立は平気だよ

それで良いと言えばそうですが、階段レベルの足をあげる左右の重心移動も苦手なので、ちょっとすべったり、段差につまずいたりしたとき、転倒しやすいです。

【当時、行った指導】
①ハンドリングで左右の重心移動と立脚相を意識させる歩行を繰り返す。
②立ち上がり、座りのときの身体の使い方と重心移動を機会があるたびにやる。
これだけを根気強く続けることで、姿勢バランスに関する課題が軽減しただけでなく、注意を余裕をもって広く向けられるようになりました。

【摂食指導の場面で見られた、食べる順番のスルー】
今回のメインの話に入ります。
何年か経って、ある児童に出会いました。

口の、なか

口唇閉鎖はあまりなく、舌を出して、食べ物を取り込んだら飲み込む。
上唇には若干過敏さがあって、さわられたくないようでした。

食べる順番からしたら、食べ物を見る、口元まで運んで、食具と食べ物に応じた口の開け方をするのですが、その流れでは食べられないようでした。そのため、まずは口唇閉鎖をしっかりやりましょう、ということになりました。
上唇と下唇を指で挟んで閉じさせる指導ですが、嫌がるので、「これでいいのかなぁ」と思いました。

:「何も指導せず、ただ口の中にいれて飲み込むだけでも、給食を食べたと言える。」
:「はじめの数分間、上唇と下唇を指で挟んで口唇閉鎖を促す指導を行う」
このAとBの差は大きいと思うので、この中間はないのかと専門家に相談しました。

専門家は、その子に起こっていることや食べ方の特徴について解説してくれました。
解説を聞いて、私はAとBの中間として、A+を決めました。

「下唇の上にスプーンを軽くのせ、上唇が下りてくるのを待つ」
「口を閉じた瞬間、下唇を下から軽く支える介助を少しする」
「あとは、子どもの食べたい方法に任せる」

これだけにしました。

五里霧中、指導の探索

【指導をデザインすること】
新しい指導を考えることが良かった、という話ではありません。
Aもあった、Bもあった、それでも他にないかと考えたこと、給食を食べる以外にも「楽しく食べる」などの観点も忘れないこと、誰でも安心してできる指導方法(基準)を決めてみること、そこも大事だと思います。
たぶん、A+ならもっとルーズにすることも、もっと厳しくすることも選べるでしょう。
そうして、惰性で続けた「経口摂取の順番にこだわらい指導」でも、多少の改善は見込まれると思います。

学校生活の場は訓練の場ではありません。
たくさんの人がかかわります。
なので、どれだけ自分が専門家の基盤を失くさないまま、ゆるさを見せられるかが大事なのです。
ただ、上下の唇を閉じる指導は多少なりとも続けるでしょう。
集団の中で決まった方針だからです。


https://magomago1.org/245whichisbettersmallclasslargeclass202010/
先回は「245)特別支援学校 1人担任がいい?複数担任がいい?」というタイトルで書きました。

https://magomago1.org/247usingumbrellaisokorno202010/
次回は「247)特別支援学校での校外学習で、「カサをさす」ということ。」について書きました。学年会でのエピソードですが、個の指導より全体の安全や運営を重視する学校の性格が垣間見られる話題です。

スポンサーリンク
まごいちブログ☆作業療法と特別支援教育をつなぐ