学校の文化 OT・PT・ST

286)特別支援学校で車椅子や補装具を作っていた時代がありました。

特別支援学校に通う子どもたちが、車椅子や補装具などを使っているのを見かけたことがあると思います。}
それらについて、どうやって作っているかご存じでしょうか。

【車椅子は専門の業者さんが作ります】

オーダーメイドの車椅子などは、専門の業者さんたちが採寸して作ります。
作る場所は大抵医師やリハビリテーション技士のいる医療機関です。

しかし、ひと昔前、特別支援学校で作られていたことがありました(今も作っている所があるかもしれません)。

なぜ、学校で作られなくなってきたかというと、出入りの業者さんがおおよそ決まっており、特定の教員との癒着を招く(業者選定の入札の手続きを経ていない)、と懸念されたのが一因だと聞いています。

【学校で作っていた頃の、作成の流れ(例)】
①教員や誰かが、某子どもの車椅子のサイズが合わなくなってきたと気づく。

②週1回行われている整形診察(外部専門家として医師を呼んで、診てもらう)。
 また、車椅子業者も来ているので、採寸などをして、見積もりを出してもらうよう依頼する。

③学校では診察と意見書の作成・発行はできないので、改めてその医師のいる医療機関を受診してもらう。

④病院の診察を受け、そこで意見書を書いてもらう。

⑤車椅子業者の見積書を受け取る。

⑥役所に申請を出し、その間に業者は作成をすすめている(許可がでなければ丸損だが、待っていると時間がかかるため、早々に作り始めることが多かったです)

⑦役所から、支給決定の通知がくる。

⑧車椅子業者の仮合わせ⇒合わないところを確認、修正すべきところがないかチェック

⑨再び整形診察の場で、できた車椅子を医師とともに確認することで完了。

意見を出し合う

【そこで工夫や助言していたこと】
 同時期にいくつも車椅子等を作成することはできません。そこで、勉強用の座位保持と、通学や屋外活動用として必要だから、合計2台、というように申請を出すようにしていました。
 また、18歳までは成長や学校などでの活動のことを考慮して、比較的車椅子や補装具などが作りやすいです。が、頻回の許可はでないため、2年に1回くらいのペースでつくりましょう。最後の18歳以降は大人用の手続きに切り替わるので、ギリギリになるまでひっぱって、最後のタイミングで大人としての生活を想定したものが作れるよう時期を考えましょう、と言っていました。

これでいきましょう

 学校で車椅子を作ると、医師や担任、外部専門家のリハビリテーション技士、車椅子業者、保護者などがあれこれ言うので意見をまとめるのが大変でしたが、医師の白衣の力を借りながら、なんとか学校生活と本人にあったものを作ろうと頑張ったものです。

 学校で意見を出し合って、車椅子を採寸して作ってしまうことは、医療機関にいるリハビリテーション技士の方(担当技士)の顔をつぶすことになったかもしれません。中にはリハ医学的に許せない、と思われることもあったかもしれません。しかし、逆に学校からは、長く座れず、作業や学習にふさわしくないものが新調されてきてガッカリということもあり、お互いすれ違いだったと思います。
 時代は変わってきましたが、このへんも学校と医療の連携の課題の1つではないか、と思います。


https://magomago1.org/285howcanbearehabilitationdoctor202011/
前回は、「285)リハビリドクターって、どうしたらなれるの?」でした。マイナーな感じがしますが、この人がいないと、理学療法士や作業療法士は仕事ができないのです。

https://magomago1.org/287after18makinganewwheelchairisnewchallenge202011/
次回は「287)卒後(18歳以降)の車椅子作成について」です。こどもだけでなけでなく、大人も変わらなければならないことがあるんです。