学校の文化 担任の先生より OT・PT・ST

287)卒後(18歳以降)の車椅子作成について

先日のブログで、特別支援学校で車椅子や補装具等を作成していた、という記事を書きました。
今では行われなりつつあるという話もありましたが、いずれにしても、それは学校に在籍する18歳までの話になります。

18歳以降はどうやって車椅子などを作成するのでしょう。

必要なものは何か考えておこう

【18歳以降】
18歳という年齢で区切るのは、身体の成長も落ち着き、ある程度障害像もかたまってきたであろう、ということで線引きがされているのだと思います。

【18歳未満時代の財産】
18歳未満の時代、手が使いやすいようにテーブルを工夫してつけましょうティルト機構やリクライニング機構をつけましょうブレーキは横と後方につけますか泥除けはどうしましょうかバックミラーをつけましょうか…と生活に必要なものが提案され、反映されてきたと思います。

あーだ、こーだ言うのが大事

この「必要性」について熟考してきた過程が、後に車椅子を作る時に必要な財産になります。

補装具費支給の目的(補装具費支給事務取扱指針より)のなかで、「失われた身体機能を補完又は代替し、かつ、長期間にわたり継続して使用される用具であり、身体障害者及び18歳以上の難病患者等の職業その他日常生活の能率の向上を図ることを目的として」と書かれています。

そのため、18歳を過ぎて、その子の心身の状態を正確に把握していないと、車椅子等を作成する判定のときに、「何が理由で、何のために、何が必要」だからこうしたい、と説明できなくなるのです。

【「願い」から脱せなかったら…】
これも補装具費支給事務取扱指針からの引用ですが、「将来、社会人として独立自活するための素地を育成・助長すること等を目的として使用されるものであり」と書かれています。

「保護者の神の手」を念頭に「できる」と解釈していたものはなかったでしょうか。

「できた」と言う前に、活動の始めから終わりまでについて作業分析をして、振り返りをしてみましょう。
でないと、「条件つきで出来た」は、どこをどう支援したか、なぜ支援したのか考える機会を捨ててしまうことになるからです。

【判定】
障害者相談センターなどで、補装具支給に係る判定が行われます。
これまで子どもの様子を見ていた医師やリハビリテーション技士、教員はいません。

うぅ…説明できへん

保護者は要否判定の場で、これまで使ってきた車椅子の装備がなぜ必要か、自分で説明することになります。
そのなかに理由がなかったり、矛盾があったりすると、指摘されることも考えられます。

要否判定から車椅子ができあがると適合判定、これを経て自分のものになります。
18歳未満の時代と比べて、すごく手間がかかります。

なので、できるだけ18歳を念頭に座位保持や車椅子を作ろうとするのです。

今、ですね

【おわりに】
学校生活を通して、こどもの成長や変化を感じ、感動や悲嘆などを経験して卒業していきます。
卒後にすることはたくさんで、そこに「科学」を必要とする場面が多くあります。

だから、私は試行錯誤と繰り返しのなかで、実態を捉えようともがく教員であろうとするんだと思います。


https://magomago1.org/286makeawheelchairinthespecialeducationschool202011/
前回は、「286)特別支援学校で車椅子や補装具を作っていた時代がありました。」について回想しながら書きました。

https://magomago1.org/288teacherswatchchildrensoheavy202011/
次回は「288)特別支援学校で行われる避難訓練、忘れがちな大人の存在」です。入れ込み過ぎると自分のことがおろそかになります。教員の多忙さは増やされる仕事だけでなく、教員が積極的に受けて、作り出しているという相乗効果もあるのかなと。