学校の文化

145)教育公務員は何を目指せばいいのか ~会社は顧客を創造することが目的~

【会社が目指すこと】
ドラッカーは「企業の目的は一つしかない。それは、顧客を創造することである。」と言っています。

会社は利益を得るための組織で商品が売れればよいのではなく、社会や個人のニーズに応えるために存在する存在だと。

消費者と会社が新しいニーズを次々とつくっています。

会社はオンリーワンの強さで勝負したり、多様なサービスを取り込むことで事業を拡大し、リスクに備えたりするようになってきました。

いずれにしても、顧客のニーズにひっかからなければ、いくらいいことをしても利益がでません。

これについて、堀江貴文さんは美しい理想だけで会社は運営することは厳しい、ということで「まず利益を出そう。いいことをするのは、その後でもいいんじゃないか。」と言っていました。

【教員の資質について】
中央教育審議会という、教育はどうあるべきか、いろいろと話し合う会議からまとまったことですが、教員に求められる資質能力等について、以下のように示しています。

①いつの時代にも求められる資質能力
 教育者としての使命感、人間の成長・発達についての深い理解、幼児・児童・生徒に対する教育的愛情、教科等に関する専門的知識、広く豊かな教養、これらを基盤とした実践的指導力等

②今後特に求められる資質能力
 地球的視野に立って行動するための資質能力(地球、国家、人間等に関する適切な理解、豊かな人間性、国際社会で必要とされる基本的資質能力)、変化の時代を生きる社会人に求められる資質能力(課題探求能力等に関わるもの、人間関係に関わるもの、社会の変化に適応するための知識及び技術)、教員の職務から必然的に求められる資質能力(幼児・児童・生徒や教育の在り方に関する適切な理解、教職に対する愛着、誇り、一体感、教科指導、生徒指導等のための知識、技能及び態度)

③得意分野を持つ個性豊かな教員
 画一的な教員像を求めることは避け、生涯にわたり資質能力の向上を図るという前提に立って、全教員に共通に求められる基礎的・基本的な資質能力を確保するとともに、積極的に各人の得意分野づくりや個性の伸長を図ることが大切であること

いろいろな言葉が並んでいますが、具体性に欠け、価値基準が示されておらず、目標設定がありません。
これが教員の仕事を「無境界性」「無限定性」なものにさせているのと思われます。

【教員がすること】
岩田康之(2008)は「教育改革の動向と教師の専門性に関する諸問題」のなかで、教師の職能について

・teacher(各教科の知識や技能を授ける)
・counselor(生活や進路に関する相談にのる)
・social worker(家庭生活に問題を抱える場合に解決を担う)
・administrator(校内で割り振られた学校の管理運営的な仕事を担う)
・instructor(各教科外活動を指導する)
・coordinator(地域の活性化に寄与する)
・guardian(児童生徒の素行の取り締まりや校区の秩序維持)

このような観点があると述べています。

これらの職能は学校、学年、学級経営の中で活用され、学級に所属する児童生徒すべてに目が行き届いていることが前提とされています。

児童生徒にかかわる事件や問題が起こったときに、「担任は何をしていた」、「担任はちゃんと見ていなかったのか」と批判を浴びるのは、これらは担任が当然するものだと考えられているからでしょう。

教員は顧客の創造より、教育制度や学習指導要領という枠組みやルールの中でこれらを為すことが仕事とされているのではないだろうか、と思われます。

【ひずみ】
地域で、家庭で子どもを育てるマンパワーと環境が整わなくなったので、学校が子どもを守る。

このようなかけ声で、子どもに関するあらゆることが時代の流れとともに学校に持ち込まれるようになってきました。

情報教育、英語、プログラミング…足すことはしても
どれも大事だと始めたことだし、後でやっていなかったと責められたくないから減らせない

時間は有限で、効果的に学習ができる質的・量的な範囲はどれくらいなのでしょう?

教員の多忙化、働き方改革などを考慮して、文部科学省では次のようなことを挙げています。
①学校の役割の明確化
②学校の組織運営体制の整備・充実
③学校における教職員の適切な役割分担・外部人材の活用

があります。

具体的にこれらを実現するための予算は十分ではありませんし、
学校以外で誰がやるのかといった受け皿も十分ではありません。

予算や法律などの整備もありますが、それでも少しずつ学校は形をかえていくと思います。

学校教育と一口にいっても、見る人の立場や価値観、経験などによって様々なので、いろんな見方があることを学びながら、どうすれば教育する勇気を損なわないでいられるか、考えていきたいと思います。

http://magomago1.org/schoolteachersculturethepressuremakehimsame202005/
前回のブログでは、「144)学校文化「同調圧力」について」書きました。

http://magomago1.org/whatkindofinformationdoyouwant202005/
次回は、「146)特別支援学校での指導の引継ぎについて書いてみます。」