こんにちは、雑賀孫市です。
修学旅行や自然体験など、多くの方は学生時代に宿泊の経験をされてきたと思います。
特別支援学校でも、宿泊を伴う学習が行われています。
ところが最近、教員の働き方改革などで、宿泊行事も見直しの対象になってきています。
「子ども同士が触れ合いながら、外に出る貴重な機会」
「年間のうち2泊3日のこと」
「先生も食べて寝るのだから、それくらい」
本当に引率だけなのでしょうか?
特別支援学校における宿泊行事の企画から実施、実施後のことまでを、ざっと説明したいと思います。
【実施までの準備】
①予算の確認、同行医師、養護教諭、応援教員等の確認
②予定した行先の確認、見学先や宿泊先に電話(いつ、誰が、何人行くか)
③実施踏査(じっしとうさ):下見のこと、略して「じっとう」の準備
実施案、実施踏査計画書の作成、下見の交通費の申請
④利用する公共交通機関への交通費の確認(割引や減免など)
⑤実踏実施、実際に行く2か月くらいまでに行う。出張なので授業を抜けていく。
⑥実施踏査報告書作成
⑦給食の欠食、スクールバス乗らない、講師の休み、非常時の薬の確認
⑧移動順、部屋割り、入浴、引率体制、食事の座席、教員の役割分担を決める
⑨事前・事後の学習の準備(事前が2時間、事後が1時間くらい)
⑩実施要項作成、部会提案
⑪保護者配布資料、生徒用旅行のしおりの作成、教員用しおりの作成、実施案(細案)の作成
⑫予算書類作成、提出
⑬★実施★
⑭旅費等の精算、交通費の報告書
⑮反省アンケート配布、集約、部会にて確認
【見える仕事、見えない仕事】
児童生徒から見えるのは、事前・事後学習、実施のところだけで、後は該当学年の教員が授業時間外で慌ただしく準備しています。
細かいところを言うと、アレルギー対応や保護者説明会、応援教員やボランティアの手配、荷物の配送、健康チェックの準備などもあります。
実施踏査は出張扱いで1回分旅費が出ますが、情報を学校に持ち帰って変更したことや、確認しきれなかったところを見るために、担当の先生が自費で再び確認に行くことがよく行われています。
それを少なくするために、業者を入れていろいろな手配をしてもらうほうが時間も労力も少なくなるのですが、「金がかかる」、「その分の予算をとっていない」、「教員が自分で確認したほうがよい」などの理由で認められない場合があります。
【業者をはさむ理由】
ちなみに、業者と教員個人では、宿泊先としては業者を優先したいので、入浴時間を(業者付きの学校優先で)変更させて欲しい、部屋割りを変更させて欲しい、といった変更を求められることがあります。
本来は、先客優先なのですが、ここでヘソを曲げて今後の宿泊先として使えなくなったら困る、予算が通っていて、これから宿泊先を探すことも難しい、ということで折れることが多いです。
業者をはさむメリットは時間、教員個人の金銭的負担の軽減、予約の確実さ、時間外労働の削減につながります。
http://magomago1.org/riskofmentalhealthintheschool202007/
前回は、「189)作業療法士が教員になったときの病休リスクを3つ挙げます」でした。
http://magomago1.org/whobringthetrushintheteachersroom202007/
次回は、「191)職員室のシュレッダーごみ、誰が捨てる?」です。