OT・PT・ST

992)特別支援学校 経験浅い作業療法士(OT)の不安とすべきこと

先日、様々な職場で働く、年齢も経験年数もバラバラの作業療法士(OT)が集まる食事会に行ってきました。

何せ、初めての人ばかりだったので、卓ごとに自己紹介をスタート。

このとき、誰から始めるかで場が一瞬とまりました。

年長から始めると、周りが傾聴しなければ的な雰囲気になり、それが自己紹介のスタンダードになり。
若い人から始めると、やりにくいことを若者にやらせるパワハラ的な雰囲気になります。

若者から年長者にどうぞと言うと、ヘタすると「やりにくいところを私にやらせんの?」的になり、場がきまずくなるリスクがありますし、年長が先にやったんだから、それに準じた内容をキミたちもやるんだよね?みたいな雰囲気になるのもイヤです。

なので、年長者と似たような立ち位置の私が、「ここは先ににいさん(姉さん)からやっていただけますか?さーどうぞ、どうぞ」と押し出して、相槌とツッコミと「どゆことでしょう」の質問を投げかけ、なんとなく喋っても大丈夫な雰囲気をつくってから時計回りで順に話してもらいました。

ずっと若手か中堅だと思っていたのに、いつの間にか扱いが「年長」「経験者」みたいな雰囲気が微妙に傷つく…。発言や行動に責任を負わせないでくれー!(独り言)。多少、気に入らない記事を削除しましたが、もうすぐこのブログも1000記事目を迎えようとしています。その中で、これだけ毒を吐いてきたんだから、今更いい人になんかなれません。

【入職して半年の方の悩み】
同じ職場だからこそ、聞きにくいことがあります。
立場があるので、安易なことを言えない、ということがあります。

評価ができるようになりたい

という言葉を聞いて、なんて理想が高くて立派なんだと思ってしまいました。リハの世界で「評価できる」とは、かなり高いところだと思っています。そりゃ、できたら日々の仕事で頭を抱えることは少なくなるでしょうし、仕事そのものに苦しさを感じることも少なくなるでしょう。

ちなみに、特別支援学校とリハ業界で使われている「評価」は意味が違います。結論から言うと、リハの剽悍のほうが50倍くらい難しく、範囲が広く、複雑です。いつか書いたことがありますが、学校の評価は授業の計画を立てて、それをやってみてどうだったか記録する「オチ」「一区切りの結果」になります。

リハの評価は、見えているものや起こっていることなどの原因やつながりを整理して、目標を立てて介入し、その効果や課題を筋道たてて進めていくこと(点ではなく線)になります。

【評価するために要るもの】
評価はPDCAサイクルなどを経ていくもので、学生さんの臨床実習でやってみて、治療の妥当性などを明らかにしていくのですが、いざ臨床に出てみると、一筋縄でいかない、複雑なケースもでてきて、太刀打ちできへん、周りのPTやらOTはテキパキとやることを決めて治療を進めている、なんやねんと思うことが増えてきます。

この、なんだか分からん、何からやっていいか分からん状況は苦しい!なんとかならんのか!?と思う訳です。

これについて、誰もが通る道なので、それぞれ答えをお持ちかと思いますが、私は「言語化できる点を増やせ」、「目の前で起こることを大なり小なり理解する手間を惜しむな」だと思います。

点は引き出しの数が増えて、守備範囲を広げます。

理解を深めることは、引き出しが深くなり、論拠が明確になります。説明責任を果たすときも力になります。

【点】

このペグって、どんな持ち方ができるだろう?

ペグ以外につかむ・つまむの道具ないかなぁ。

この治療法、他の場面で使えないかなぁ。

この治療するには、どんな場所と導線がいいんだろう?

あの人が逐一血圧を測るのはなんでだろう?

技士装具士さんがきてるけど、どんなことを依頼できるんだろう?

あの人の評価の方法、どんな手順なんだろう?

初めての患者さんに、どんなふうに言葉をかけているか、いろいろな人の違いをみてみよう

みたもの、感じたものを意識して、毎日自分の中に少しずつ取り込んでいくことで点が増えていきます。

【深堀り】
この会社が取りあつかっている車いすはどんなものがあって、どんな特徴があるだろう?

この手技は、どんなものか、本を読んで自分のものにしてみたい

このケガに対する術式はどんなふうにするんだろう?

目の前の患者さんを知るために、疾患の特徴をはじめから見直そう。

深く知ることで、場面に応じて何がつかえるか、使ってはいけないか、どこまで期待できるか、自分なりに使い分けや判断ができるようになってきます。

【はじめの一歩】
この点を増やすことと深堀りを2~3年ガマンして続けていれば、場に応じた引き出しの開け方が分かってきますし、引き出し同士の組み合わせや開けるタイミングが分かってきます。

理屈ばかりで引き出しの少ない人は、患者さんの多様性に対応できません。これがダメならコレはどう?みたいなとりまわしができないので、ちょっとイレギュラーなことがあると、手がとまってしまいます。

なので、興味のあることから、分かることから、地道に器を大きくして、その中にいろんなものを入れていくことが大事です。それらは、今の自分に使えなくても、先々すごくつかえるようになったり、有用なものを生み出すヒントになったりします。

点がつながり、引き出しを並べかえていくことを繰り返していると、評価ができる自分に気づけるようになってきます。