特別支援学校では教育支援計画を見ながら、学校でどのような目標をもって、どんな学習をしていくか個別の指導計画に表記していきます。
目標設定は、生きていくうえでおさえるべきこと、伸びしろなどを考えて決めていきます。
勿論、教科の目標も大事だと思いますが、経験不足や障害像などを加味すると独力で「自ら学ぶ」、「深い学び」を求めていくのは少し難しいと感じていて、知識などを枝葉のように広げていくというより、新しい学習を深め、下支えするための学習を積み上げる、といったほうが現実的かもしれません。
そのため、「現段階はどうか」、「どこを重点的に学べるようにするか」がとても大事だと思っています。
これが、個別の指導計画の目標の根っこになります。
【事業を行うときの目標設定】
ドラッカーが挙げた、事業を行うときの目標設定の基本的な視点として
①マーケティング
②イノベーション
③経営資源
④生産性
⑤社会的責任
⑥費用としての利益
をあげています。
いずれも、数値目標を達成することが目標でなく、「顧客の満足につながるか」、「そのために知恵を絞って努力をしているか」という発想から設定し、組織化していく必要があるとのことです。
【特別支援学校における目標設定の考え方】
あくまで、私の考え方、やり方なので一般的ではないと思いますが、
基本的に、投資の「分からないものには投資をしない」が、学校での指導でも活きています。
とにかくやってくださいと押しつけられたものには「ねらい」がありません。
「根拠」もありません。そうして、「ゴール」がありません。
いくら始めたときが良くても、良くも悪くも子どもの変化とともに対応を考えなければいけないと思うのですが、ルーティンになってしまうと、誰かが言いださなければ変わりません。
心身の機能・構造と活動に関する情報を整理して、環境面等をふまえてボトムアップする形で目標やアプローチが考えられたらいいのですが、それをすると、必ず他の子どもの指導や安全管理等との葛藤が起きます。
学校では経営資源や生産性を考えると、学年や学級に在籍する子どもの活動、参加と、教員数と力量を天秤にかけて、そのなかでどれくらいの個別指導や集団、グループの指導が可能になるか計算しています。
集団を意識して運営するので、子どものここが優先順位的に取り組みたい課題(上位)なのに、と思っても、それを捨てて他にできることを探してはめ込むこともあります。
なので、客観的に見て「なんで、これ大事なのにやってないの?」という案件も、分かっているけれどできないのかもしれないし、できる状況ではないのかもしれません。また、それをするのは今じゃないと考えているのかもしれません。
利益について、教員を始めた頃は子どもの成長と、それを示すことが成果であり、利益だと考えていました。更に、組織的対応を考えたとき、他の子どもの成長などについて連絡帳や面談で前向きに話せることも利益還元かもしれません。細かいことを言うと、次の年に担任が変わっても系統性がもてることも学びの場を安定させるために必要なことかもしれません。
目標は
一本気に高くなく
客観的で
学級経営できる範囲で
周囲を振りまわさず
集団の中で学ぶ環境のなかでできるこ
個別指導の機会が得られたら、すぐに取り組めること
そういう観点をもって立てることが大事だと思います。
【あとがき】
誰のための目標かといいうと…「子どものため」というのが通常だと思いますが、私はそれだけではなくて、保護者のためでもあるし、日々悪戦苦闘する自分を励ますためでもあるし、一緒に学んでいる同級生や教員の活力をあげるためでもあると思います。
また、「専門家の指導や助言を…」、「専門性の向上…」とどこか見下された感があるのが悔しいので、達成して見せるための目標になったりもします。
http://magomago1.org/howdoyouliveafternowjob202005/
前回「149)コロナに関係なく、地方回帰(田舎暮らし)を考える時、特別支援学校教員っていけるのか」
http://magomago1.org/assesmenttimeisimportant202006/
次回は、「151)特別支援学校の教員として、指導方針を決めるとき結構緊張します」という話です。