学校の文化 担任の先生より

113)保護者と話すときに留意していること

こんにちは、雑賀孫市です。
今日は教員が保護者と対話するときの考え方について書いてみます。
先日みた研修動画の中で紹介された内容です。
バイスティックの7原則はケースワークを行う際に必要なものらしいです。

どうしましょうかねー

【バイスティックの7原則(個別援助技術)】
①個別化(保護者を個人としてとらえる)
②意図的な感情表現
③統制された情緒的関与(教師は自分の感情を自覚して調整する)
④受容(保護者をありのままに受けとめ批判しない)
⑤非審判的態度(保護者を一方的に非難しない)
⑥保護者の自己決定(保護者の意思に基づく自己決定を促して尊重する)
⑦秘密保持(秘密を保持して信頼感を醸成する)

ケースワークとは、クライエントが抱える困難な課題を支援・援助することで、主体的に生活できるようにすることだそうです。
私が保護者と話をするとき、④⑤⑥は意識しますが、 ①③⑦は意図的に弱くしています。

【原則と異なる方法を選ぶのはなぜ】
保護者と話すとき、話す内容によって自分の立ち位置を少しずつ動かしています。
なぜかというと

・納税者としての保護者に対応する公務員
・目の前の保護者の子供を最もよく指導するための専門家としての教師
・学校という集団の中で子供を支援する教員

これら3つの顔が欠けないよう留意することが大事だと思っています。どれも潰すことができないからです。

顔を使い分ける

【どれか1つの顔しか持たないと、どうなるか】
公務員としての教員が先に立ち過ぎると、何でもイエスで、物言う保護者の言うことを聞いて、他の子供や保護者を置き去りにする傾向が強くなります。
専門家としての教員が先に立ち過ぎると、論理的な正論で話すので、心強い反面、権威的で人間の感情的な面を抑圧する傾向が強くなります。個に対する科学を尊重するので、集団としての指導をおろそかにする傾向があります。
集団を尊重し過ぎると、組織運営的には波風が立たないのでいいのですが、目の前の子供に対して、これという指導のテーマが決められていないと、集団の中に埋もれて終わる可能性があります。

【ケースワークの技術は、教員になじまない面がある】
おそらく、公的な立場の方が監修にあたられたと思いますが、バイスティックの7原則を 意識し過ぎる教員は大事なことを忘れています。

それは、クライエント(保護者)が抱えるいくつかの問題は、教師の問題でもある、ということです。

個別の指導計画は、誰が、誰を主体に書いていますか? 「問題はクライエントのもの」を意識することで、クライエントに感情移入しすぎない、 クライエントへの過剰な介入を誘発しない、クライエントに依存させない、などの利点があります。

保護者と教員が当事者意識をもって、お互いの状況や立場を確認しつつ、日々できることを確認するには、ちょっと正論をかさに、「他人事みたい」で「圧迫感を感じるような」面談になる気がしますが、どうでしょう?

http://magomago1.org/whatisthemeaningofteachersjob202004/
前回は、「112)先生の仕事は誰のためにある」でした。

http://magomago1.org/whatisthevalueofateacher202004/
次は、「114)教員の仕事の評価について」です。成果主義が入って、教員のお仕事も評価されるようになりました。