担任の先生より

1007)特別支援学校 おむつか、パンツか

昨日、知的障害の学部のトイレ(排せつ)介助について書いたとき、そういえばおむつかパンツかの話も、学校では結構でてくるなと思ったので、長々と書いてみます。

【段階づけ】
みなさんは、出生されてから、しばらくおむつを使われたでしょうか?日本の紙おむつは性能が良いと海外で一時評判になっていましたが、今もそうなのでしょうか。

昔は布のおむつをあてて、使っては洗って干し、それを繰り返していました。手間はかかりますが経済的で、子どもがおしっこをして濡れた、不快だから泣く、ヘタするとかぶれて苦痛さが増す、なんてことを日々繰り返しておりました。

濡れたくなければトイレで排せつすればいいんだと理解し、布おむつも、いつまでも干していると他人から漏らしていることを視覚的に知らせることになるので恥ずかしい、という感じで、感覚的に、社会性も含めて多くはおむつからパンツへと進化させていったのでございます。

ところが、前述の通り、日本の紙おむつは優秀なので、濡れても布おむつほど不快感がありません。また、他の子も同じようにおむつを使っているし、おむつ=恥ずかしいなんていう大人や友だちもまずいません。これは、脱おむつとか必要なの?と思える状況かもしれません。

【おむつ外し】
それでも、おむつを外す取り組みは、可能性が少しでもありそうなら行われがちです。保護者側からよく聞くのが、おむつの費用の軽減や手間の軽減で、教員から聞くのが個別の指導計画で取り上げたのでやってみる、です。

雰囲気や話の流れになりますが、家庭がどうしているかより、「率先して学校がやります」みたいな雰囲気になるケースがあるのが気になります。言ってしまった手前、なんとか成果を出さなければと無理をするケースをみたことがあるので、良し悪しだなぁと思っています。

話はそれましたが、よくあるのが、おむつにいつ頃、どれくらいの頻度排せつしているか傾向をとらえ、出そうなときに、促せるタイミングでトイレに行くよう促してみる、があります。

ここでは、何分くらい座らせるか、どのいタイミングで座るよう促すか検討されます。「できるだけのことをしよう」という積み重ねが、授業の間の時間をどんどんタイトにする傾向があるので、線引きが必要だと思います。これは肢体不自由の学部に多い傾向です。知的障害の学部でこれをやると、集団の動きが停滞することがあるので、取り組みとして丁寧すぎる対応は好ましくありません。

また、マジックテープによる着脱式のものからパンツタイプへの移行は、立位がとれるようになったときに検討されることが多いです。寝て交換するとき、テープ式は寝返りのときにお尻の下に敷いて取り換えることができますが、パンツタイプはお尻の下にスペース(隙間)がないと交換できず、介助負担があがってしまいます。しかし、パンツタイプのほうがコストが下がるので、テープからパンツタイプのおむつへ、それができたら布パンツへと、何かに追い立てられるように取り組まれていることがあります。

いずれにしても、どの段階が妥当かは子ども次第なところがあります。便意や尿意があるか(感覚)、得た感覚と尿や便と関連づけられるか、便や尿をトイレにいくまでためておけるか、便意や尿意を伝えることができるか、立位や立位保持などができるか、結局どの状態が望ましいかは子どもによるところが大きいと思われます。そこに時間や労力、体力などの大人の事情がからんで、日常の支援の形が決められるのだと思います。