児童のなかに、スプーンを下手にぎりでつかんで、食べている子がいました。口の動きもそうですが、手の使い方も子どもによって様々です。
手の発達の段階からすると、机の上のスプーンを上からわしづかみにする持ち方が始めで、手首が使えてくるとスプーンの下から握るようになり、だんだん指の対立や曲げ伸ばしなどが効いてきて、大人が持つような持ち方に近づいていく、という流れです。
【学級の子どものスプーンの持ち方】
その子はスプーンの下からもって、親指でなく小指側にスプーンの頭(?)が出ているので、段階的には2つめなんだなと思いました。
しかし、強固にスプーンを握っていて、手首は反った状態で固定しています。肘の動きが大きく、前腕の動きが少しでているかな、という感じなので、そこからどこかに発展しそうな印象はありませんでした。
気になったのは、ガッチリスプーンを握っていて、持つというより「握って固めている」感じです。せめて、もう少し手首や指を柔らかく使えたらというところと、握ることに懸命になっていることから解放できたらいいのになと思いました。
【対応】
持つことより、うまく食べ物をすくって、口に運ぶところを意識してもらいたいと思ったので、ユニバーサルカフみたいなものを使ってみたらどうだろうと思いました。
学校で貸出用の在庫があれば、お試しできると思って問い合わせをしています。それがないときは、保護者に買ってきてと言う前に、スタンダードな柄を太くするものを使って、今より楽に握れる方法を提案してみるかなと思っています。
これをやってみようと思ったのは、年度が始まって半年後のことです。気づくのが遅いかもしれませんが、担任はこれまでの児童生徒の生活様式を変えて、方向をつけることよりも、今ある状態で学校(学級)での過ごし方をどうするか、どうしたら安定して過ごせるかに注意を払うことが多いです。
そうして、やっているうちに改善できるところはどこか、今できることは何かと調整や改善を始めます。教員からしても、児童生徒からしても、新しい環境になって落ち着かない、どうしていいか分からないところに、これが改善策なのでやってみてと慣れない事を求められるのは、ストレスの連続になるかもしれないと様子を見ています。
いつやるか、いつからやるかは別にして、教員も、児童生徒も落ち着いたところから、えいやっと腰が上がらないと、変更を受け入れにくいときがあるんだと思います。