担任の先生より

1015)特別支援学校 スプーンのもちかた支援

スプーンをもち、操作することは不器用さをもつ子どもにとって辛いことがあります。

給食を楽しく、美味しくと言われることがありますが、うまくすくえない、こぼれる、力が入り過ぎて疲れてくる、などがあると、それどころではありません。

先日、ガチガチにスプーンをもっている子どもに対して、ユニバーサルカフみたいなものがあれば手の力をそれほど使わず、食べ物のかたさや大きさなどに対応した動きがだせるのにと思いましたが、それに該当する自助具のお試しは校内に在庫がなく、できませんでした。

こんなとき、あくまで指導に必要だから公費で買おうにも、予算だてされているものだから、秋に発案して、予算化したとすると、到着するのは次年度の夏くらいになるかもしれません。年度を過ぎると、子どもの状態は変わるかもしれませんし、担任が変わればニーズの捉え方も変わってしまうかもしれません。

では、保護者に伝えて買ってもらうのはどうか、です。正直、この手を使うのは気が進みません。事前に「協力しますので、何でも言ってください」なんてことを言われているなら声をかけられますが、「学校は無償じゃないのか」、「お金を出さないとできないことなのか」と言われる可能性はゼロではありませんし、もめごとになったら、「何とか工夫してできなかったのか」などと平気な顔で言う人もいる訳です。

できることは、3つあります。
①その指導を諦める
②教員が自腹をきってやる
③無料でなんとか手配できないか考える
です。

取り組んでみて、うまくいかない可能性もあるので、そんなに強く推奨もできません。

【なんとか無料で】
秋も深まったこの時期で、中途半端な指導で終わったらイヤだなと思うのもあり、自腹をきってまでやるのはちょっと…と思い、無料でなんとかしようと思いました。

スプーンを持たなくてもいいように…は諦めて、楽に握って余力をもたせるということで、用務員室にあった「やや太めのホース」を5センチくらい切ってきて、スプーンを刺して通すだけの穴を二か所あけました。

ユニバーサルカフなど、持たなくてもいいものは安定性は保たれるものの、手の中で角度を微調整して、スプーンを操作する隙間を無くしてしまうリスクもあるので、ホースのグリップが吉となる可能性はあります。

とりあえずでやってみたところ、スプーンを上からつかむ、下からつかむ、手首をかえしてスプーンを操作するなどの試行錯誤や微調整をするようになりました。余裕と余力はでるのかなと思っていましたが、想定以上でしたので、そのまま使って様子をみることにしました。

自助具だけでなく、身体運動や座学などについて、年齢相応にするか、発達年齢に合わせるか、今をよくするか、将来に向けて伸びるよう頑張ってもらうか、指導の手だては多種多様にあります。どんなカードをきるのが悩むことがありますが、本人にとって、支援者にとっていいものなのか、できる範囲で吟味して導入していきたいと思います。