今いる子どもを、よその子になるために出してしまうことを「里子(さとご)に出す」といいます。
これは業界用語(一部で使われている)のですが、学級を一人で切り回せないときや、学級担任が不在になって学級を解体して、他の学級に吸収させないと立ち行かないとき、「里子に出す」ことが行われます。
本来、学級が設定され、そこに在籍する児童生徒と、教員が配置されるので、その枠組みの中で安定的に学習できるのが理想なのですが、自治体によって、その時の学部の事情で、どうしようもないことがあります。
【準備】
A君が2組から4組に行くことになりました。そうなると、4組の先生は二つの準備をしなければなりません。
一つは、A君の物品を4組に運ぶことです。
いつもの通りに教室に入り、カバンからタオルや水筒、連絡帳などを出して…という流れがなくなり、馴染みのない場所に誘導するのですから、「場所は違う、でもよく見てごらん。いつもの物品を置く場所はあるし、椅子もあるでしょ。」と言えるように準備します。
登校したら、物をどこに置き、授業ごとに何が必要か想定して、教員も子どももつまずかないようにします。
もう一つは、すでにいる4組の同級生とどう動きをからめるか、です。登校してから下校するまで、同じように行動するのでしょうか?それとも、部分的に別になるのでしょうか。
指導の目と手が欠けないようにするにはどうすればいいか、考えどころ、悩みどころです。
【評価】
A君について、その日、場所が変わっても流れに沿って行動できたでしょうか?
いつもやっていることができていたでしょうか?
エラーが出ていたら、何か原因があったと思われます。次年度進級して教室や教員集団が変わったとき、同じようなエラーが起こるかもしれません。適応能力だけでなく、応用力を見ることができる貴重な機会です。下校するときには、「場所が変わったけれど、落ち着いてできたね」と誉めてあげたらいいと思います。